まばたきしたら 世界が変わる
そう信じて 目を閉じた夜がある

          何かを求めて/何かから逃げて
          まったく異なる場所に行きたかった

机を叩いても 大声でわめいても
変化は決して訪れなかった
見えない机の中で 傷だらけの拳を握り締める
夜と昼とを隔てる扉は
世界そのもののように厚かった

          

月日がたち 誰かのまばたきで
          世界は変わったのだろうか

高い位置から見下ろす瞳に
求めることより求められることを選んで
踏み出す自分のつま先が見える
その足跡を辿ればきっと
必ずあの夜があるだろう

          


          やがて風が吹き
          捨ててもいいと思った世界の
          昼を通り過ぎる






                           1988.4.2    

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