「桜」


この闇の中で 
お前はしっかりと大地をつかむ

その暖かな恵みを受けて
お前は連綿とした生命の営みを繰り返す

その、幹にもたれて 
私はお前の鼓動をきこう

私の鼓動とお前の鼓動が 
いつしかひとつのものとなり
やがて大地に根をおろす

そして一年という長い歳月を 
花をつけるその瞬間まで

辛抱強く待ち続ける

夏を
秋を
冬を

桜よ桜
春を望う






1983.5.18

 

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