『ブラック・フォックスの予告当日。あたし達は、コレクションがあるという宝物蔵の前で待つことにした。果たして、彼は現れるのだろうか?
・・・・・え?ガウリイ?なんのこと、それ?』
 
(ちゃんちゃんちゃんちゃんちゃららら〜〜〜っ♪)
連続ラジオドラマ:スレイヤーズTRYセラ(笑)第一話
第四回:『気をつけよう 暗い夜道と愉快犯』
 
 
 
(わぉ〜〜〜〜〜ん、わんわん!←犬の遠ぼえ)
 
「・・・・リナ。」
「・・・・何よ。」
「・・・・きいてもいいか。」
「・・・・だから何。」
「何でさっきからお前さん、スリッパを握りしめてるんだ・・・・・?」
「・・・・・む〜〜〜〜〜〜〜・・」
「・・・な・・・・なんでオレをにらむんだ?オレ、なんかしたか?」
「あんたがまた寝言で訳わかんないことを言い出した時のために、今から準備してるんじゃないのっ!」
「・・・・え???寝言???」
「ガウリイさん、寝言で『リナ・・・・お前はオレが命に代えても守る・・・・』って、言ったんですよ!ああっ!ステキでしたっ!」
「ちょっとアメリア・・・。変な脚色しないでくれるっ?それになんか一言増えてるわよっ!」
「いいじゃないですか、細かいことは。」
「よくないっ!」
「オレ、そんなこと言ったっけか?」
「おい、いつまでじゃれてる気だ。そろそろヤツが現れてもおかしくないんだぞ。」
 
ぎゅううううううううっ!
(ゴムののびるような音)
 
いててててててててててっ!!!
なっ!なにすんだっ、リナっ!」


ぎゅうううううっ!
ぎゅうううううっ!

「いたいいたいいたいっ!ひどひっ、リナさんっ!」
「おい、岩をむしるな!リナ!痛いじゃないか!」
「・・・・ふっ。お忘れ?彼は変装の名人なのよ。
もうすでに、この中の誰かに変装してすり代わってるかも知れないわ。だからちょっと試してみただけよ。」
「それならそうと言って下さいよ・・・・。」
「しかし何もいきなりやらんでも・・・」

・・・・ふっふっふ。リナ。語るに落ちるとはこのことだな!」
「な、なによガウリイ!?いきなり仁王立ちになっちゃって。」
「だってこの中の誰かになってるかも知れないんだろ?じゃあ、お前さんがそうかも知れないじゃないか!」
「えっ・・・・・何言ってんのよ、んな訳ないじゃないっ!」
「ふっふっふ・・・・。リナ〜〜〜〜。
さ〜〜〜〜恐くないからねえ・・・・・」

「あああっ!その目つきがコワイっ!!ちょ、ちょっとっ!ガウリイっ!」
「リナ〜〜〜〜〜〜」
「いやあっ!痛くしないでぇっ!
 
(ばっくん、ばっくん。誰かの心臓の音)
「ところでアメリア。何で俺達はこんな廊下の隅から見てなくちゃならんのだ・・・。」
「しっ!ゼルガディスさん、黙って!今、いいところなんですからっ!」
「ガウリイがリナのほっぺたつねるとこがか・・・・?」
「ガウリナふぁんは、二人が何をしててもらぶらぶに見えるものなんですっ!」
「ガウリナって・・・・・・アメリア、お前一体・・・・。」
 
しゅたっ!!
(何かが床に刺さる音)
 
そこまでだ。
いたいけな少女をいじめることは、月が許してもこの怪盗ブラック・フォックスが許さない。』
(エコー最大限)
 
「ああっ、凄いっ!バラの切り花が大理石の床に突き刺さってますっ!一体どうやったんでしょうねえ、ゼルガディスさんっ!」
「そんな場合じゃないだろ・・・・」
「げげっ!あんたわっ!」
「いたいけな少女・・・・・・?そんなもん、どこにいるんだ?」
 
どげしっ!←蹴りを入れる音
 
『とうっ!』
 
ひょおっ!(風のように何かが飛び下りる音)
すたっ!(見事な着地を伺わせる音)
 
「ほらな、アメリア。着地ってのはああするんだ。よく見とけ。」
「ゼルガディスさんこそ、そんな場合じゃ・・・・・」
 
(どこかで聞いたようなバイオリンの音楽)
 
「躍る明月誘われて、
今宵も醜き欲の塊を、恵みの雨へと変える時。

誰が呼んだか怪盗義賊
ブラック・フォックス、華麗に登場。」

 

「凄い・・・!まるでセ(ぴ〜〜〜〜っ)ンの月(ぴ〜〜〜〜っ)士みたい・・・・!おしいっ!あれでマントを白にして、頭にターバンまいて・・・・!」
「何をぶつぶつ言ってる。」
「現れたわね、怪盗ブラック・フォックスっ!」
「おお。君は。」
 
(きらびやかなベルサイユ宮殿に似合いそうなロココな曲)
 
「その美しい栗色の髪、バラ色の頬、きらきら輝く宝石の瞳。
忘れはしない、僕の愛したリナ。
・・・・元気だったかいハニー。」
(ちゅっ!←投げキッスの音


ええええええっ!ブラック・フォックスとリナさん、そんな関係だったんですかあっ!?」
「な、なにバカなこと言ってんのよっ!アメリアっ!」
「君と別れてから、僕の胸にはぽっかりと大きな穴が開いてしまった。どんな宝石を盗んでも、君の瞳にはかなわない。・・・・さあ、いまひとたび、
その唇を僕に預けておくれ・・・・・。

「うぎぃええええっ!?」
 
「ちょっと待った!!」
 

「ガウリイっ?」
「ガウリイさんっ!待ってましたっ!それいけ、ガウリイさんっ!」
 
つかつかつかっ!(ブーツの足音)
 
「おお。君は。まだ僕のリナと旅をしていたのか。」
「わくわく。わくわく。」
「だから・・・・なんで廊下の隅にわざわざ引っ込むんだ・・・・?」
「ガ・・・・・ガウリイ・・・・?」
「ふ。やる気か?相手にとって不足はない。いざ。」
 

ぎゅうううううううっ!!!
 

「いてててててっ!なっ、何をするっ!?」
「・・・・・あ・・・・・・・・・・・。
あんた・・・何、してんの・・・・?」

「騙されるな、リナ!こいつ、変装してるかもしれん!」
 
ばしいいいっ!!(勿論、スリッパの音)
 
「あ・・・あ・・・・アホか、あんたわっ!!怪盗が本人に変装してど〜しよ〜ってゆ〜〜のよ〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」
「え?あれ?オレ・・・なんか変なことやったか?」
「ふっ・・・・。相変わらずトボけた男だね、君は。
・・・・さて。
皆さんがここにいるということは、私の邪魔をするために呼ばれたのだな?」
「そっ・・・そ〜ゆ〜ことよっ!報賞をたんまり貰う予定ですからね。手加減はしないわよ!」
「・・・・・・ほほう・・・・。」
 
(戦いの序曲)
 
「この屋敷の主人が貯えているという、噂に聞くコレクションを盗むつもりだったのだが。どうやら、一筋縄では行かせて貰えないようだね?」
「今度は仲間が二人増えたわ。あの時みたいには行かないわよ。」
「・・・・・ふむ・・・・。1対4か・・・。
ちょっと卑怯じゃないかな?」

うっ・・・・。
い、いいのよ!あたし達には大事なコレクションを守るという使命があるんだからっ!」

「高額の報奨金を貰うという野望があるんだから!・・・・と聞こえたぞ・・・・。」
「ううるさいよ、ゼル!」
「ダメです、リナさん!」
「なっ・・・・・アメリア?」
(うるうるした瞳で言ってそうなアメリアのうるうるした声)
「ダメです〜〜〜。1対4じゃ卑怯です〜〜〜。正義じゃありません〜〜〜〜。」
「ったくこの子は!」
 
「私にいい考えがある。1対4などという卑怯なやり方より、もっとフェアで美しい解決方法だ。」
「さりげにイヤミなヤツ・・・・。いいわよ、聞こうじゃない。」
「私と君とで、とある賭けをしよう。期限は二日。二日の間に、賭けに勝った方がこの勝負の勝者となる。私はコレクションを、君は報奨金を手に入れる。
・・・・どうだ?悪い話じゃないと思うが。」
「賭け、ね・・・・・。」
「乗りましょう、リナさんっ!少なくとも1対4よりマシですっ!」
「う〜〜〜ん。」
「おや、自信がなさそうだな。・・・・よし、掛け金を変えよう。」
「な、なによ?」
「君が賭けに勝ったら、私はコレクションを諦め、屋敷からの報奨金を手に入れる。私が勝ったら。・・・・その場合も、コレクションを盗むのは諦めるというのはどうだ?」
「ええっ・・・?」
「それって・・・・どういうことだ?」
「だってそれじゃ、結局あんたは何も手に入らないってことじゃないっ!」
「ふ。それより、もっと欲しいものが見つかったのでね。
最も、賭けに乗らないなら、このまま何度でも盗みに入るが?」

「・・・・・・・・。」
「どうします、リナさん!」
「どうするんだ、リナ。」
「えっと・・・・・オレはまだよくわかんないんだけど・・・・。」
「どうだね?僕の愛しいリナ。賭けに乗るかい?」
「・・・・おし。あたしも女よ。その賭け、乗った!」
「いいだろう。期限は二日。明後日までに僕が目的を果たせなかったら、潔くこの屋敷を諦めよう。」
「で、目的って?」
「ふっ・・・・・・・・。」

(お星様キラキラ、薔薇の香が漂ってきそうな曲。)
 

「前回は失敗したが、りべんじだ。
リナ、君の唇を二日の間に奪ってみせる!」

 
「ええええええっ!!!」

「賭けって・・・・・それが賭けですかあっ!?」
 
 



『ようやく姿を現わした怪盗ブラック・フォックス。しかし、彼の提案はとんでもない賭けだった。危うし、リナ!哀れな美少女の運命やいかにっ!
・・・てなところで、次回も聞いてくんないと、暴れちゃうぞぉっ。』

『ええと・・・・。哀れな美少女って、誰のことだ・・・・?』
 
ばしいいいっ!
(勿論、スリッパの音)





次回へ進む。