「続・結婚物語(笑)



・・・・最近、リナが冷たい。
結婚してそろそろ半年。
まさかこれが噂に聞く、『カンブリア爆発期』というヤツではないだろうか・・・・?


ばしっっっっ!!!

・・・・・何故かどっかからスリッパのツッコミが入ったので、訂正。
『ケンタイ期』だった。







なんとなくおかし〜な、と思ったのは、オレが仕事から帰ってきたある晩のことだった。
リナは玄関まで迎えにも出ず、何やら本を真剣に読んでいる。
オレがただいまを言っても、顔をあげずに「おかえり。」で済まされてしまった。
・・・・なんか淋し〜ぞ・・・・。
後ろからがばりと腕を回し、「リ〜〜ナ♪」と甘えてみた。
駄菓子かし。
ぺちっとばかりにはたかれて、おしまい。
「ちょっとっ。あたし今、いそがし〜のっ!
でれでれしないでよっ!」
・・・・・あう〜〜〜。
オレ達、あま〜〜〜い新婚さん生活は、もう終りになってしまったのか・・・?
しょんな〜〜〜。

オレに背を向けたまま、リナは台所を指差して言う。
「悪いけど、ご飯作ってるヒマなかったから、できあいの買ってきた。食べて。
お風呂はもう湧いてると思うから。入って。
んで、寝て。」

・・・・・・・・・。
えええええええええ・・・・・・・

「オ、オレ、一人で・・・・?」
「と〜ぜんでしょ。それともアンタ、一人でご飯も食べられない、お風呂も一人で入れない、一人で眠れない、2才の子供なわけ?」
「・・・・・今日だけ2才に戻ってもい〜けど・・・・」
ばたん!と本をたたむ音がして、リナがぎろりとこちらを向いた。
「バカなこと言ってないで、さっさと手洗ってご飯食べなさい!」
きゃうんきゃうん。


かくしてオレは、冷たいご飯を一人で食べ、一人で淋しくお風呂に入り、居間に戻ってきた。
リナはまだ、読書に夢中だ。
「あの〜〜〜〜〜、奥さぁん・・・・・。」
「あ。お風呂あいた?んじゃ、あたし入ってくる。
ガウリイ、おやすみ。」
「・・・・へっ・・・・」
リナは本を持ったまま、いそいそと風呂場へと出て行ってしまった。
風呂で本を読む気か・・・・?
いや・・・それよりも・・・・。
なんつ〜かその・・・・・・。
リナちゃん。
冷たくない・・・・・?




結婚してすぐの頃は、やっぱり一人で眠る日があった。
まだリナが、オレと夜を過ごすのを怖がってた頃だ。
やっと二人で眠れるようになってからというもの。
オレはつくづく、幸せを噛みしめていた。

朝、目が覚めると、無防備なリナの寝顔が間近で見れる。
オレの腕の中で、安心しきって身体を預けて眠っているリナが。
く〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
寝かせておいてやりたいよ〜な、手を出さずにはいられないよ〜な。
複雑な瞬間だ。

朝ご飯を作るリナは、思わず後ろから抱きつきたくなるほど可愛い。
一度それをやって、リナがあやうく包丁で指を切りかけてから、我慢はしている。
でも、くそ〜〜〜〜〜〜。
エプロン姿ってのは、反則だよな〜〜〜〜〜。

オレが仕事に行くと、リナは自分の魔道の研究室に篭るらしい。
別にオレはそんなことは構わないし、リナが一日、無茶をしないでくれればそれに越したことはない。
夕暮れともなれば、オレは子供達と別れて家路に着く。
たまに、近所の人から声をかけられる時がある。
いつも、楽しそうに家に帰ってくるね、と。
・・・・・当たり前だろ・・・・。
だって、家にはリナがいるんだから。
それも、オレの奥さんとして。

そしてオレは家に戻り、「ただいま。」を言い。
夕飯を作っているリナに後から抱きつき(これも、リナに怒られる)、ただいまのキスをする。
リナが腕の中で何かもがもが言っても気にしない。
多少、鍋が吹きこぼれようが、フライパンから香ばしい匂いがしようが。
この習慣をやめるつもりはも〜と〜なかった。

ご飯はいつでもうまい。
なんたってリナの作ったもんだし。
テーブルの前にはリナがいれば。
満腹になると、後片付けをするリナの脇で、オレがお茶を入れる。
夕飯のあと、二人でのんびりとお茶をすすったりもする。
一日の出来事とか、リナが新しく見つけた魔法のなんかよくわからない話も聞かされるが、オレは楽しい。
その間、ずっと。
寛いだリナの顔を見て、にこにこしていられるからだ。

風呂に入る時は、タイミングが肝心だ。
これはちょっとスリルと勇気がいる。
「・・・一緒に入らないか?」
って言って、殴られる時もある。(なんでだよ〜〜)
ぽっと顔をあからめ、「何言ってんのよ!」とそっぽを向かれるだけで終る時もある。
何回かに一回、運が良ければ成功する。
「しょ、しょ〜がないわね・・・。」の一言がもらえる時もあるのだ。
らっき〜〜〜〜。
ちゃちゃちゃ。


え〜〜〜と。
こっから先は、良い子の皆にはまだナイショだ。
オレから言わせてもらえれば。
「オトナになったら、それなりにい〜こともある。」としか(笑)
ともかく、リナが怖がらなくなってから。
オレは一人で寝た・・・・・いや、眠ったことがない。
まあ、そ〜ゆ〜ことだ。



だが。
最近になって、そんなオレのあま〜〜〜〜い生活が。
ガラガラと音を立てて、崩れて行ってしまったのだ。
何故だ。
何故なんだ、神様リナ様。
教えてくれ〜〜〜〜〜〜〜〜っ。
オレの何が悪いんだ?











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