(☆連続ラジオドラマのため、音声のみでお届けします)




ちゃ〜〜ちゃららちゃららら〜〜〜〜(BGM:ほのぼのとしたのどかな曲)
 
「のどかね〜〜〜〜」
「ホントだなあ…………」

ぴちゅぴちゅぴちゅ……(SE(効果音):小鳥のさえずる声)

「ねえ……ガウリイ。」
「ん………何だ、リナ。」
「その……こんな時に、こんな事を言うのも何だけど、さ。」
「どうした……改まって。」
「いや……前から、言おうとは思ってんだけどね……なかなか、ほら、言えなくて。」
「な、何だ?」
「普段は、その、アメリアも、ゼルもいるし………二人っきりって久しぶりだよね………」
「そうだなあ……。」
「考えてみると……あたし……あんたと出会ってもう二年もたつんだよね……。」
「……そうだっけか……?」
「ひょんなことで出会ってさ、最初、あんたはあたしのこと、思いっきり子供扱いしてたしさ……」
「わ……悪かったって。それは後で謝ったろ?」
「それで……二人で……いろんなこと切り抜けてきたよね……」
「ああ………」
「気がついたら……なんか、いつもガウリイがそばにいて……。
いつのまにか、それが当たり前になっちゃったんだよね………」
「リナ………?」
 
さらさらさらさら………(SE:小川の流れる音)
『胸の中、あふれる想い‥‥‥』
(BGM:"process" from the best of SLAYERS)
 
「今さらこんな事を言うの、何だと思うかもしんないけど……」
「え……」
「しかも………しかもよ。よりにもよってあんたに………
剣術バカで脳ミソの中はいつも梅雨、オウガの体力にスライムの知力って我ながらナイスネーミングだと思ってる、あんたによ…………」
「………お、お前な‥………」
「自分で自分に、あんた一体どーしちゃったのよ!?正気!?
ってツッコミ入れたくてうずうずしてるくらいなんだけど………
まあ……そーなっちゃったもんは仕方ないって言うか………」
「なあ………話がまったく見えないんだが…………」
「いつまでもぐじぐじ考えてるのって、性に合わないし。
女は度胸だと思うのよ。
だからこの際………思いきって言うわ………!」
「リナ…………?」
「あたし…………あたし、ガウリイが………!」
「えっ……」




 

ずるべたごちぃいいいいんんんっっっ!!!!

「ふんぎゃらごげっ!!!」

ぴしっ
(SE:ムチの音)
ガラガラ……ピタッ(SE:荷馬車が止まった音)

「なっ……な、何が起こったの、あたしに………?」
「大丈夫か、リナ!」
「ガ………ガウリイっ!?な、な、あ、あたし?」
「お前なあ。いくら疲れてるからってあの寝相はないぜ。
一回転して荷台から落ちたんだぞ、お前。」
「に、荷台?落ちた?」
「大丈夫ですか、リナさ〜〜ん?」
「早くしろ、せっかく荷馬車に乗せてもらったんだからな。」
「あ……アメリア‥………ゼル…………。
そ………そか………あたし………
荷馬車で揺られて……気持ちよくなってつい眠っちゃったんだ………。
なんだ………そっか‥………さっきのは夢か………はは………」
「どこか怪我したのか?顔が赤いが………」
っだ!だいじょぶよ、だいじょぶ!ねねね寝ぼけてただけよ。
さ、い、行こ、待たせちゃ悪いわ。」
「お?おう。」
「………くっそ〜〜〜。何であんな夢を見るかな………あたし………。」
「何か言ったか?」
「全然?!全く!?これっぽっちも!!」
 

つつじゃん♪つつじゃん♪つつつつーつじゃん♪
♪『無情に過ぎてゆく、たいくつな時間〜♪』
(OP曲:naked mind(ON AIRvirsion)

 

(アメリアとゼル、ガウリイ、そしてあたし、リナ=インバース。
アメリアがつけた『仲良し四人組』っていう名前はちょっと勘弁だけど、
相変わらずあたしたちは……元気です!) 

(タイトルコール曲)
『連続ラジオドラマ:スレイヤーズ・ねくすとら
 ぷれみあむないと☆
 第一話!「あなたのココロ、癒します。」
 第一回!「癒されて、ふらふら」!!』

 
 
 
 
ガラゴロガラゴロ………(SE:荷馬車が街道を進む音)
 
「だ〜〜〜っっ、ったたたた……」
「大丈夫ですか、リナさん。」
「大丈夫じゃないわよ、アメリア。あちこち体が痛いわよ。」
「自分の寝相が悪いからだろ。」
「うるさいよ、ガウリイ。
だって昨日から街道を歩きづめで、しかも徹夜よ、徹夜!
ちょっと休憩とったくらいで、ず〜〜〜っと後は歩きっぱなし。
運よく荷馬車に乗せてもらえたからいいよーなものの、これが疲れなくてどこで疲れるってゆーのよ。うっかり眠っちゃっても不思議はないでしょ。」
「仕方ないじゃないか。ここら辺りは物騒だって話だし。
野宿はやめて次の街に急ごうって言ったのはリナだぜ?」
「ガウリイの言う通りだ。
たかが一晩徹夜で歩いたくらいで、ぶうぶう言うな。たるんどるぞ。」
「あのね!ゼルガディス。言わせてもらいますけど!
可愛いカオしてその実、あの超法規的平和主義者のフィルさんのムスメとゆー、とんでもない経歴の持ち主のアメリアと!
のほほ〜〜んとした顔で平気そーなのは、実は頭の中身が砂漠を行くラクダの栄養コブと同じ原理になってるんじゃなかろーかという疑惑の、体力と剣術バカのガウリイと!
疲れることを知らないロックゴーレムと邪妖精のミックスジュースである、あんたと一緒にしないで欲しいわね。
あたしはまあ、天才魔道士で、しかもそこそこ使える剣士でおまけに美少女だけれど?
体はふつーの女の子なんですからね!」
「………普通?」(ゼル、アメリア、ガウリイ三人揃って)

「………………」
(ラジオ制限ギリギリの無音状態)


「ち………ちょっと………。何でみんな、黙ってるのよ?」
「い………いや、今の「普通」って言葉がだな………」
「リナに対して使うのに、これほど似合わん単語もあるまい。」
「そうです。普通という言葉に失礼です!」
「自分で天才だの美少女だの言っちゃうところからして、すでに普通じゃないよなあ。」
「桁外れの魔力が繰り出すとんでもない魔法で、街を半壊させたり。
「夜中にこっそり趣味の盗賊いぢめに出かけたり。」
「ふところにツッコミ用スリッパを隠していたり。」
「それが普通の女の子の基準だとしたら怖いぞ。」

ギャ、ギャ、ギャ………(SE:無気味な鳥の泣き声)
バサバサバサッ………(SE:木から羽ばたく音)

「あ………あんたたちね…………
人が黙ってればそこまで言う……!?」
(ひくひくした声で)
あっ!!リ、リナさんほらっ!!
もうすぐ街に着きますよ!
そうしたら、あったかいベッドとお風呂にありつけます!」
「そ、そうだぞ、リナ。だからそのスリッパはしまえ?
うまいもんだって食えるかも知れないんだぞ。」
「しっしかもですよ!次の街はなんと!
『あらゆる疲れと病を癒し、究極の癒しを提供する』という、癒しの街なんですよ!」
「い、癒しの街!?究極の癒しを提供するって……それホント?
なら行こう、すぐ行こう、今行こう!はいよ〜っ、ガウリイっ!」

ぺしぺしっ!(SE:スリッパで背中を叩く音)

「オレはラクダや馬じゃない………」(ぼそぼそ)
 




 
ガラガラガラガラ…………(SE:馬車の音)
ちゃ〜ちゃちゃっちゃちゃ〜らら〜ちゃ〜ららららちゃ〜ららっら〜〜
(BGM:それなりに大きな街に入った時の曲)
 
えええっ!?なにそれ!!
なんで街に入るだけで、そんなの受けなくちゃいけないのっ!?」
「どうしたんですか、リナさん?」
「あ、アメリア。
あのね、何か知らないけど、街に入るには検査を受けなくちゃいけないってゆーのよ。」
「……検査って……何の検査なんだ?」
「あ〜。もしかして、持ち物検査とかですか?
ふふ。だとしたらリナさん、絶対にひっかかりそうですよね。」
「あのマント、何が入ってるかわかったもんじゃないしなあ。」
「ふ。叩けば埃だらけかも知れん。」
ちょっと!!人をお尋ね者みたいに言わないでほしいわね!
あたしはまだ、お役所のお世話になるよーな悪事はおかしてないわよ!!」
「まだ、だって……」
「語るに落ちたな。」
「ガウリイ!?ゼル!!」

「うぉっっほん!
君たちはこの街は初めてか?ようこそ、癒しの街パラキュアタウンへ!
ではこれから、全員に検査を受けてもらう。
女性はこちらの部屋、男性はこちらの部屋に入ってくれたまえ。」(まじめそうな男性の声)
「へっ!?何で男女別々なの??」
「ほらほら、後がつかえておる。さっさと入らんか。
え〜、入ったら、服を脱いで待つように。」

ドカチーンッッ!(SE:精神的ショックを受ける音)

なぬっ!!な、何で、ふ、服をっ!
「えええ、何でですか〜〜〜!?」
 
シャキンッ(SE:剣を抜く音)
 
「おい、ちょっと待て!」
「お前!リナとアメリアをどうするつもりだ!」
「お、おい、落ち着きたまえ。検査を受けてもらうと言っただろう。
この街はパラキュアタウン、究極の癒しを提供する街だ。
よって、まずは旅行者の健康状態を調べることから始まる。
君たちには、健康診断を受けてもらわねばならんのだ。」
「け………」
「健康診断っ!?!?」
 
 





ちゃ〜〜らららちゃららら〜〜
(BGM:のんびりとした曲)
 
 
「は〜〜驚きましたね、リナさん。まさかこんな事になるなんて。」
「そ……そうね………」
「女性のお医者さまだったからいいですけど。
死ぬほど恥ずかしかったですよ。人前で肌をさらすなんて。」

「あ、いた、お〜〜い、リナ、アメリア〜〜!こっちこっち!」
「遅かったな。俺達はもうとっくに終わって、一息ついてたところだぞ。」
「ゼルガディスさん!良かった、無事に通れたんですね。」
「ああ、この体なのにな。何故か何も言われずに済んだんだ。」
「どうした、リナ?元気ないな。」
「大丈夫よ、ガウリイ。心配しないで。ちょっと……その、疲れが増しただけだから。」
「疲れたって………顔色が悪いぞ。
……よし、オレが宿屋までおぶってってやろう。」
いっ!いいわよっ!そんなのっ!!」
「何を遠慮してんだよ。ほら。」
「無理もありませんよね。疲れてるところへ、いきなり健康診断なんて。
おまけに、身長体重、視力聴力座高まで測らされたんですから。」
「ぎくっ」
「身長体重?…………ははあ。」
「何がははあ、なんだ?ゼル。」
「リナが疲れた原因さ。身長体重だけじゃなく、おそらくスリーサイズも…」
うわわわわっ!ガウリイっ!やっぱおぶってっ!!
は、早く宿屋に行きましょっ!」
うぐうっ!いきなり飛びつくなっ……げほげほっ!」
 
(BGM:怪し気な曲)
ひゅーどろどろどろ……(SE:無気味な音)

「もし………そこのお方………」(かぼそい声)
 
うわっ!びっくりしたっ!あんたどっから湧いて出たっ!?」
「失礼ですよ、リナさん。街の方ですよね。わたしたちに何か?」
「そこの……フードを被った男性の方…………」
「ゼルガディスさんのことですか?」
「実は………折り入って、お願いしたい事が………」
「悪いが俺は急いでいるんでね。頼まれ事を引き受けている暇はない。」
「ま、まあまあゼル、いきなり断らなくても。いいお話かも知れないじゃない♪
で、ここにいるゼルに何を頼みたいんです?」
「……簡単なことなのですが………」
「はいはい。」
「あなたの体を私に預けてくれませんか。」
 
ドカチーンっっっ!!(SE:精神的ショックを受けた音)
ちゃららら〜〜(コミカルな曲)
 
「えええええっ!か、体をっ!?」
「ぐうっ!く、苦しいぞ、リナっ!首を締めるなっ!」

「あっ………預けるってあなた……そんないきなりっ……」
「だ、だめ、だめです、ゼルガディスさんっ!
体を預けるなんて、そんな不謹慎なことっ!」
「お前ら………体、体と連発するなっ!何考えとるっ!」
「だって……ねえ。」
「げほげほっ、で、ゼルガディスを一体どうするつもりなんだ?」
「あなたの……その体が欲しいんです………」
「ほ、欲しいって!!」
「頭に抱き着くなっ!骨が刺さるっ!」
「ガウリイ〜〜〜!」
「ななななななな何言ってるんですか、あなたは〜〜〜!!!
ダメです、絶対に渡しません!
ゼルガディスさんの体は、ゼルガディスさんのものですから!!」
「邪妖精とロックゴーレム、そして人間のキメラなんて珍しい………
是非……是非わたしに研究させて下さいっ!」
「…………は??」
「研………」
「究………?」

 
わらわらわらっ(SE:たくさんの足音)

「ちょおっと待った!!!」
「抜け駆けは困る!!その人はウチが目をつけたんだ!!」
「いや、うちだ、うちが先だっっ!!」
「何言ってるんだい、こんな珍しい実験体をほっとく手はないよっ!
どうだいあんた!うちに来ておくれ!
なあに心配はいらないよ、その体を研究さえさせてくれればいいんだ。
大丈夫、今なら実験は一日に三度にしてあげるから!
注射は日に十回、電気ショックは五回まで!
破格の待遇だ!
高給優遇、制服貸与!おまけに今なら育児手当もつけるよっ!」
ざわざわざわっ(SE:たくさんの人の声)

「はあああああ???」(四人揃って)
「い、一体これは……」
「ええい、それがダメならせめて血を!」
「そうだ、血を抜かせてくれえっ!」
「ち、血いいいいっ!?
「リナさん!わたしたち、囲まれちゃってますよ!!」
「ええい!何が何だかわからないけど、この場は一旦逃げるわよ!
ガウリイ、そのまま動かないで!
『浮遊(レビテーション)』っっ!!」

シュウウウウウ………
(SE:風の音)

「ゼルガディスさんも行きますよ!」
「仕方あるまい!」
 
シュウウウウウ………(SE:風の音)

「ああっ、逃げられたっ!」
「久しぶりの客だ、追え、追えっ………」(フェードアウト)






ヒュルルルルルル…………(SE:降りてくる音)
シュタッっ!(SE:地上に飛び下りた音)
 
「ふ〜、ここまで来れば大丈夫みたいね。」
「さっきの人たち何なんでしょうね。研究とか、実験とか言ってましたけど。」
「何でもいいけど、疲れた〜〜。早く宿屋へ行って…………」
 
ざわざわざわ(SE:人の話し声)
わらわらわらっ(SE:足音)
 
「疲れただと!!是非うちで休みなされっ!」
「へっ?」
「いや、こっちこっち!」
「お〜〜いその四人さん、宿はこっちだよ〜〜〜!」
「ちがうちがう、こっちこっち!
うちに宿泊してくれれば、宿代はタダ!タダでいいよっ!」
「え、タ、タダ!?
「その代わりと言っちゃなんだが‥…‥」
「へ………?」
「あんたらの体を、研究させてくれ!!!」
「んんなぁっ!?」
「見たぞ、魔道士だ!しかも三人も!こりゃあいい実験体になるぞ、おい!」
「是非うちの実験に参加を!」
「せめて血を!」
「髪の毛一本でいいからおくれ〜〜!」
「ぎゃ〜〜〜っ!ひっぱんないでよっ!」
「リナ!」
「また囲まれちゃってますよ、わたしたち!」
「アメリア、逃げるぞ!ガウリイ、リナを担げ!」
「わかりました、ゼルガディスさん!」
「よし!」
「走れ!」
ぎゃあっ!ど、どこ触ってんのよ、ガウリイっ!
自分で走れるってば!!
いや〜〜〜〜っっっ!!降ろせ〜〜〜〜っっ!!!」
「逃げたぞ、実験体がっ!」
「待て〜〜〜っ!!血をくれ〜〜〜〜っ!!」

「もおおおっ!!
一体、何なのよこの街はぁっ!!!」
 






ちゃららちゃ〜らららっらちゃららら〜(コミカルな曲)
 

(旅を続けていたあたし達が、疲れて立ち寄ったパラキュアタウン。
究極の癒しを提供する、癒しの街……だそうだが………なんか全然、話がちがうんですけど…………。
いきなり健康診断はされるわ、身体検査はされるわ、あげくの果てにスリーサイズまで……(ぼしょぼしょ)
おまけに体を預けろだの研究だの実験だのって、一体どうなってるの??
あたしが今欲しい癒しは、あったかいベッドと美味しい食事、それにお風呂なのに〜〜〜!!
このままじゃ、いつ休めるのよ!

ってなところで、物語は続く!
次回も聞いてくれないと、暴れちゃうぞっ☆)

『胸の中、あふれる想い〜♪
受けとめたい、そっと伝えたい
正直な私を
変わり始めた距離(スタンス)に
ぎこちなく背中を押されて
動き出す process of my love……』

(ED曲:”process” アルバム「the best of SLAYERS」収録)

 
 
 














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