「ケシごむの空。」

ま〜た書いちゃいました。もうとどまるところを知りません(;^-^)
なんとかもう少し、短く簡潔にと思うのですが、どうも書き始めると長くなってしまいます。では、おひまな方、どうぞ読んでやって下さい(;^-^)TRYの3ヶ月後頃です。
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「リナ、お前透けてるぞ。」
「へ?」

季節は冬だった。
しかし風もなく日射しが暖かい。
こういう時、旅もいいものだとあたしがガウリイに話しているところだった。
「透けてるって、なにが?」
意味がわからず、一瞬きょとんとしたあたしは、あわてて自分の体を見回した。
「いや、なんとなく、肌のあたりが陽に透けてるんだ。」 
・・・・・まあ。
あたしってほら、意外に色が白いし、特にこの時期なんか自分でも透けるような肌だなあって、考えたこともあるのよ。
しかし、ガウリイが突然そんなほめ言葉を口にするとわ・・・
「あれ、マントも透けてる。」
「はあ?」

見ると、確かに透けていた。
うっすらとだが、マントの向こうに景色が見えちったのだ。

「えええ?どゆこと?」
マントをたくしあげた腕も透けている。
「ちょ、ちょっと待って、ええと・・・」
マントを放して、あたしは右手の人さし指をひたいにあてて考えてみた。
その指も透けている。
「やだ、ちょっと、なにこれええええ?!」
「いやあ、」
ガウリイが自分の頭に手をやってにぱっと笑った。
「何年も一緒にいたけど、お前のそのかくし芸、はじめて見たぜ♪」

すっっぱあああああああああああん。
んん、宿屋のスリッパは常備品よね。

っっっって、ち・があ〜〜〜〜〜〜〜〜〜う!!!
「かくし芸なんかじゃないわよっっ!
なんで、なんであたし、透けてるのおおおおお!?」
「え、違うのか。じゃ、なんで透けてるんだ。」
「知らないわよおおっ。やだ、どーーしてえ???・・・・・」
「・・・リナ・・・」
「・・・これじゃ、次の町についても飯屋でごはんが食べられないい(;_;)」
「い、いや、もうちょっと深刻だと思うぞ・・・・」
ガウリイがじと汗をたらしてこう応えた。





・・・・・・くすん。

結局野宿になった。
今日こそはおいしものお腹いっっぱい食べて、お風呂に入ってふかふかのベッドで寝たかったのにい。
「リナ、魚焼けたぞ。」
「・・・うん。」
とにかく、悩んでるだけじゃ解決しない。
食べるもの食べてから考えようっと。
あたしはガウリイから串刺しにした焼き魚を受け取ろうとした。

すかっっ。
「あり。」
すかっっ。
「あ、あれれ」
「リナ?」
あたしの手はお魚をすり抜けてしまった。
「・・・」ガウリイも驚いてる。
そーいえば、さっきより手が透けて見えるよ〜な気が・・・。
・・・ははは・・・・。
「リナ?」
「・・・・・ど〜〜〜〜しよ〜〜〜〜ガウリイ。
あたし、ちょっと目え回ってきた・・・・。」


かくんと首を垂れると、向こうにガウリイの膝が見えた。
ぱちぱち、と火がはぜる音がする。
ガウリイも黙っている。お魚はそのまま焦げていった。

しばらくして、かすかな風がたってガウリイがすぐ真横に座る気配がした。
左腕を伸ばし、あたしの肩のあるあたりに回した。
「こういうこと、なんか思い当たることはないのか?
たとえば、魔法を使い過ぎた時とか、お前髪の色が変わったことあったよな。」
「・・・・・」
たしかにあたしは短い期間に、普通の魔道士ならば一度にたくさん唱えられないような強力な魔法をいくつも使った。
だがそれはもう、3ヶ月も前のことだ。今頃影響が出るとは考えにくい。
「お前が思い付かないなら、誰かに助けを求めに行こう。
まほー・・なんとかって、医者いなかったっけ。
シルフィールなんてどうかな、なんか知ってるかも。」
「・・・・・」

こんなの、あたしらしくない。
なにが起きたっていつも自分で必ず解決してきた。
今度だってよく考えれば答えがみつかるはず。
思い出すのよ、リナ。
「・・・・・」
ダメだ、思いつかない。

あたしは、自分の肩を透かしてガウリイの幅広い肩を見た。
・・・・この肩に、寄っ掛かれたらなぁ。
胸に耳をあてて、ガウリイの鼓動が、聞けたら。
そしたら、少し落ち着けるかも知れないのに。
なんて、普段だったら絶対に考えそうにないこと考える。
・・・弱気な自分に腹が立つ。
腹がたちすぎて、涙が出そうだった。

「心配するな、リナ」

つとめて明るいガウリイの声がした。
「大丈夫だって、必ず元に戻る方法を見つけてやる。オレが必ず。」
顔をあげると、ガウリイはたき火を見ていた。
もしかして、透けてるあたしの姿が見たくない?
それともあたしに気を使っているのかしら。
そんな余計なことを考えていたら、金色の髪をゆらしてガウリイがこちらを向いた。そしてにっこりと笑った。
「なんだか今日のリナはやけにおとなしいなあ。」






目が覚めたら朝だった。
昨日のことは、夢だったのかも。

でも、それは虫のいい願いだった。
やっぱり手は透けていた。昨日よりも。
あたりを見回すと、ガウリイがたき火を消していた。
「おぅ、起きたな。さあてっと、とにかく近くの町に行って、誰かと連絡がとれる方法を考えよ・・・」

急に言葉がとぎれた。
さっと彼の体に緊張が走る。
「・・・誰だ?」


少し離れた空間に、ぽん、とゼロスがあらわれた。
いつものマントを纏い、杖をたずさえている。

「リナさん。・・・ああ、やっぱり。」
ガウリイが緊張を解いた。
「ゼロス、なにか知ってるのか?」足早にゼロスのもとへと駆け寄る。
「教えてくれ、ゼロス、なにがどーなってるんだ?」

「お、落ち着いて下さい。順を追って説明しますから・・・」
「いや、待てない。すぐに解決法だけ教えろ!」
ゼロスには効かないと、彼もわかっているただのロングソードをゼロスに向ける。
「ゼロス!!」
「わ・・・わかりましたよ。とにかく、落ち着いて。あのですね。」
「早くしろ!!」

あたしはただぼーぜんとその場に立ち尽くしていた。
「解決法はもうお教えしなくても大丈夫です。
もうすでに修正は始まっていますから。」
「・・・修正?」
やっと我に帰ったあたしは、ゆっくりとゼロスに近付いた。
「ええ。おはなししますけど、いいですか、驚かないで下さいよ。」
「もうとっくに驚いてるわよ。」ツッコミも冴えがない。
「ケシごむです。」


「・・・・・はあ?」


「ですから、ケシごむなんですよ、リナさんが消えかかっている原因は。
全部話すと長くなるんですが、」
「手短かにして」
「はい。実はですね、この世界には女神さまやら暗黒の魔王さまやら神さまがごろごろしてるんですが、そのすべてを創りたもうた、創造神という方がいらっしゃいまして。」
「・・・・・・・・・・・。」
「その方の考えたものを映像にして実体化させる、これまた別の神さまがいらっしゃるのですが、これが忙しい方でして。お仕事中にうっかり違うところにケシごむを使ってしまったんです。」
「ケシごむ?」
「はい。何でもこの世をもすべて消しさってしまえるという、神さまにしか扱えないおそろしい神器なのですが、それをたまたまリナさんに使ってしまったらしいのです。気がついた時にはもう半分以上消えていて、うっすらと下書きの線が残っているだけでして。」

「・・・なんのことか、さっぱりわからんぞ。」
「でしょうね。ぼくにもわからないんですから。
ともかく、今回ぼくはあの方から直接依頼されて、あなたに事の次第をお伝えしに来たんです。神さまももう、すぐに修正作業に入られてますので、間もなく元に戻ると思いますよ。」
「・・・戻る?」
「はい。現にもうだいぶはっきりしてきてるじゃありませんか。」
もう一度手を見ると、たしかに輪郭がはっきりしてきた。
「ゼロス?」

ゼロスのいた空間を見ると、すでに彼は帰ったあとだった。

はあ〜〜〜〜〜〜〜。
あたしは地面にへたりこんだ。





「・・・・・なんだって、こんなことになったのよ」
「そういうなって。よかったじゃないか、元に戻れるんだから。」
ためらいもなく、ガウリイはあたしの頭をくしゃくしゃにかき回した。
・・・あ、もう触れることはできるんだ。
でも一瞬、ガウリイの手が伸びてきた時は恐かった。
もしかして、ゼロスの言ったことが嘘だったら、と。

そんなあたしの不安を吹き飛ばすようにガウリイが笑った。
「あーーー、はらへったなぁ。リナ、全速で町に向かおうぜ。
はらがへって、死にそうだ!」

好き。

「よっしゃ、ガウリイ、あたしにつかまって。
このまま翔封界(レイ・ウィング)で町まで直行よ!!」
「おう!!」

 暖かな、冬の小春日だった。































=================おしまい♪

あ◯いずみさんごめんなさい(;^-^)悪意はないんです〜(笑)リナが消えかかる話がかきたくて、それしか思い付かなかったんです(笑)
この話も某BBSでご覧になった方もいらっしゃるかと思います。使い回しです(おひ)しかし、そーらの話に出てくるゼロス様はなんであんなにヒマ人なんでしょう。今回ゼロス様の役回りは、舞踏会に行けなくて泣いてるシンデレラのところにあらわれた、いいまほーつかいのよーーーな・・・。
全然違うか(笑)なにもしてないし。

では、ここまで読んで下さった方に愛をこめて♪
消しゴムで、プラスチック定規を溶かしちゃったことありますか?(笑)
そーらがお送りしました♪

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