「たき火」
〜リナside〜



   
ぽきん、と枝を折る音がした。
うっすらと目を開けると、あかあかと燃えるたき火が目に入った。

ぽきん、とまた枝を折る音がしたが、折るときの小さな衝撃があたしの体にも伝わった。
話し声が聞こえた。

「お主も苦労してそうだのう。ガウリイ殿。」

あのだみ声はフィルさんだ。

「いや、苦労は買ってでもしろってのが、うちのばあちゃんの口ぐせだったし。」
・・・・ガウリイ?やけに声が近いな。
「・・・それにこういう苦労なら、オレ、結構好きだったりするんだ。」
----------なんの苦労だろ?・・・ガウリイって、苦労してたっけ?
「お主ほどの腕があれば、セイルーンはもちろんのこと、いや、どこの国王だって喜んで貴君を召し抱えると思うぞ。」
・・・メシ抱える?って、言うわよ、ガウリイ。
「めしかかえるって・・・
(ほら、やっぱり言った。)オレそういうのは苦手なんだ。」
・・・あれ?

ガウリイのボケをなかば期待してたあたしに、今まで聞いたことのないような声が聞こえた。
 
「王様の家来になったら、やっぱり戦に行かなくちゃいけないだろ。
戦に出るってことは、闘うって事だ。
闘う以上、どちらかが死ぬか、傷を負う。
自分も人間、だが相手も人間だ。
その相手を殺すつもりで斬り結ぶならそれ相応の理由がいるもんさ。
理由もなしに剣を向けるなら、それはただの人殺しだ。
戦の理由は、王様が決める。
今のオレは、オレの理由で闘いたいんだ。」

「うむうむ。」
「・・・なんか、エラそうなこと言っちまったな。」
「いやいや、お主、なかなかの男じゃ。」

・・・・・さっきからやけにガウリイの声が近いと思っていたら、あたしはガウリイの膝枕で寝ていた。
ぽきん、とガウリイが小枝を折ってたき火に投げ入れるたびに、その感触があたしに伝わった。

「オレは人殺しは好きじゃない。
好き嫌いで生きてちゃいけない気もするが、こいつのためにも好きでいちゃいけないと思うんだ。」
ガウリイの手があたしの頭に触れた。
まるで当然のように。
あたしの髪を撫でながら、ガウリイが言った。
 
「こいつ、こういうヤツだろ。
またいつ、どんな厄介ごとに巻き込まれるか。
-------そのたびにオレはこいつを守るために剣を使う。
人を殺すこともあるかも知れない。
だからって、人殺しに慣れて、その方が簡単だからと受け入れてしまえば、オレはもう人殺しが好きなのとおんなじだ。
・・・そうなったら、こいつを守ってやる資格なんかない。
いつか、その方が簡単だからと、しょうがない、と、こいつも慣れちまうかも知れないからだ。
そんなことになったら、オレは絶対自分が許せない。」
 

うーーーん、とアメリアが寝返りを打った。

ガウリイは口を閉じた。
右手はまだ、あたしの髪を撫でていた。
彼の光の剣は左の腰にさしたまま。
剣を持つ、その利き腕でガウリイはあたしの髪を撫でていた。
何度も、何度も。


そのあと、あたしはまた眠ってしまった。
意識がとぎれる前、こんな声を聞いた気がした。

「『こいつを守れる自分』を守るために闘う。
それがオレの、戦う理由。」
 
































======================end.
こんな短い話に1時間30分かかっちゃいました。(;^-^)最初ギャグ飛ばしてもっと長い導入部を書いてたら、うっとうしくなって消去してしまいました。
なぜリナがあそこで眠っちゃうかという『理由』がそこには書いてあったんですが、別になくてもいいかな、と思いまして。あたま撫で撫でしてもらって、気持ちよく寝ちゃったと思って下さい(^-^)某BBSに置き逃げした作品です。ガウリイの利き腕がわからなくて、ライム様に教えて頂いて修正しました♪アメリアの視点からのお話もありますので、よろしかったらどうぞ♪
 


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