「ハムハムの気持ち。」


『自称保護者VS自称婚約者!?』バージョンのハム君でお送りします。
 



 今日も良い天気だ。ここら辺は治安も良いし、今日中に何事もなく次の街に着けるだろう。
 何かあっても、切りぬける自信はそこそこあるし。
 …まあ、モンスター相手にするつもりはないけど。うん、あのシーサーペントは美味しかった。
 あんなのを食べたなんて郷里に帰って言ったら、自慢できる事なんだけど。今僕は傷心の旅の最中だしなあ。
 それに、きっとあの並じゃない人達にとっては『日常茶飯事』なんだろうし。
 リナちゃん…いくら近所の同年代の幼なじみを全て泣かした事があるからって、あそこまでぶっ飛んだ生活だとはさすがに思わなかった。リナちゃんの事だから人間は皆ふっ飛ばす対象になるとは思っていたけど。あんなのまで倒しちゃうなんて。
 …かっこ良かったなぁ………。
 真っ直ぐに相手を見据えてその瞳に想いの全てを込めて。高く高く飛んで他の何よりも輝く。
 その強さも、美しさも、輝きも、昔とは比べ物にならないくらいの激しさで。
 きっと僕では守りきれないくらい。
 だからきっと、リナちゃんが僕を選ばなくて良かった。
 僕達の関係は『幼なじみ』で。しかも食べ物で繋がっていて……さすがだよ、リナちゃん……。
 僕はリナちゃんに会って惚れ直したんだけど、君はそうじゃなかった。
 隣にはもう『幼なじみ』じゃない人がいた。
 それでも僕があんな勝負をしたのは、ちょっとでも『幼なじみのハムハム』じゃない僕を見て欲しかったからなんだ。
 どんなに本気だって言ってもあんまり本気にされなかったし。うーん、やっぱり第一印象がまずかったかな?
 ガウリイさんも……あれは、天然だな。なのに、僕があそこまで愛を語って振り向いてもらえないのに、何もせずにリナちゃんに背中をあずけられて一緒に戦って、心まで手に入れている。
 ……ああ火竜王様。恋愛って不公平。
 どうしてあの人は無自覚なんだろう。彼女を『好き』だという事に。それだけが心残りだ。せめてあの二人の間にもっと波紋なりを残していけばよかった。
 …くっ…振られ男の愚痴なんてみっともないぞ僕!
 そうだ、リナちゃんくらいのいい女なんてめったにいないけど、探せばきっと僕だけの一番星がいるはずだ!
 そうと決まれば早速次の街でガールウォッチングだ!
 頑張れ僕、負けるな僕!次の相手とはきっと、『自称』抜きの婚約者になれるよう!


















===============えんど♪
ひたきさん、ありがとう!思わずアップしちゃったよ(笑)楽しいリクエストをありがとうでした♪ 

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