「いつまでもこの関係で・・・」

 
 
うふ今日も今日とていつも通り夜のお楽しみの盗賊イ・ジ・メ(はあと)
ガウリイにはスリーピングをかけといたし。うふ
2人一緒の部屋にしてから夜一人で抜け出す事ができずになって早1ヶ月半
思えば長い道のりだったうっううーーーーー(涙)
1ヶ月半も我慢していた物だからとってもストレスが溜まってしまった。
 
今日は私が昼寝をし過ぎたせいか宿に着くのが遅くなってしまい夕食を取ると
すぐ部屋に戻ったガウリイに部屋の扉の外からスリーピングをかけて今にいた
る訳だ。
さっき食堂の隣の席で酒を飲んでいたおじちゃん達の話しでは2ヶ月程前から
街の外れの森に盗賊が住み着いてほとほと困っているという話だ。
その話によると盗賊団はそれなりに大きいようだ。
こりはもしかしてたんまりお宝抱えこんるかも。
などと考えているとついつい顔がニヤけてしまう。
いかんこんな夜中にニヤついているなんて、目茶苦茶怪しい人になってしま
う。
 
話の通り街の外れの森には盗賊団がいた。
やっぱりここは一発大きな呪文でビビラせておいてその隙にお宝を奪うという
のがベストだろうと思って、呪文を唱えながら前に進もうとした時後ろから肩
を引っ張られた。
しまった森の中にも見張りが潜んでいたのかと思った時にはもう草むらに引っ
張り込まれていた。
 
それからすぐに猿ぐつわを噛まされて手を後ろ手に縛られ、盗賊団の頭が居る
テントの中に連れて行かれた。そこにいたのは結構カッコ良い人。まぁガウリ
イには劣るが結構美形の青年であった。
「お頭、森の中にこんな小娘がいました。」
という子分その一にもう下がれというとお頭は私の体を上から下までじろじろ
と見回した。
それから一言こともあろうにそいつは言った
「なんだ、胸のねえちびガキか」と
もちろん私も黙っているはずが無い。怒りの絶叫をしてみたが猿ぐつわを噛ま
されているのでフヌフヌとしか聞こえない。
お頭の方は、フヌフヌ叫んでいる私を楽しそうにみながら酒を飲んでいた。
私はとっても頭に来て叫んでも無意味なのだと解っていても叫ばずにはいられ
なかった。
いい加減私に飽きたのか彼は一言私に黙れといった。
その時の彼の瞳には、とても冷たい物が入っているようで私は黙った。
それに満足したのか彼はまた酒をのみ初めた。
それにしても私ちょっとヤバイかも知れない。ガウリイにはスリーピングをか
けてきたから朝までは起きないだろうし、猿ぐつわを噛まされたままでは呪文
も唱えられな
いから逃げる方法が無い。そんなことを考えていると遠くの方での騒ぎが聞こ
えてきた。
お頭が、駆け込んできた子分に
「なにがあった?」
と尋ねると子分は
「良く分かりませんが、変な金髪の剣士がいきなり切りかかってきたんでさ
ー」
と言った。お頭は私の方を見ると
「お前の仲間か?」
と聞いてきた。私が首を縦に振ると剣を構えて外に出ていった。
 
それから暫くすると何だか知らないがお頭と仲良さそうにしてガウリイとお頭
がテントの中に入ってきた。周りの子分と私が不思議そうな顔をしているとガ
ウリイが私の手を縛っているロープと猿ぐつわを外しながら説明してくれた。
ガウリイの話によるとこのお頭はガウリイの幼なじみで昔から「絶対に盗賊の
頭になるんだ!」と言っていたそうで、再会したのはかれこれ十数年ぶりだそ
うだ。
それから後は、テントの外に薪をくべて明け方まで宴会をした。
そのお頭の仇名はビッケと言うそうだ。(本名はガウリイが覚えてるはずも無
く当人に聞くとビッケで良いと言って教えてくれなかった)
ビッケの話によるとガウリイは昔からクラゲだったのだがそこが近所のお姉さ
ん達にうけて結構お姉さん達にモテたそうだ。等とガウリイの昔の話を聞いて
いるうちに東の空が紫になってきたのでそろそろ帰ろうと言う事になった。
最後にまだ私が名乗ってないのでリナ=インバースだと名乗ると周りで楽しそ
うにしてた人たちが一気に青ざめた。
「今日のところは何もしないわ。けど、街の人たちや他の人を困らせるような
事をしたときにはガウリイの幼なじみだからって容赦しないわよ!」
私は最後にそう言い残すと、ガウリイを連れて帰った。
 
森を出て街が見えてきた頃私はガウリイにどうしてここに来たのかと聞くとガ
ウリイはちょっと悪戯っぽい表情で
「夜、飯を食いおわって部屋に帰ろうとしたら途中で宿のおばさんに高いとこ
ろにある箱を取ってくれって頼まれて、それが終わって部屋に帰ってみると誰
かさんが居なくてさ、したの食堂に行ってもいないしさ、それで飯食ってると
きに隣のおやじが盗賊団の話をしてたからさ、誰かさんの事だからどうせ毎度
のごとく盗賊いじめにいったんだろうなー。と思って」
そこでいったん一息ついてガウリイは行き成り真剣な表情になって言った。
「リナ?今回は何もされなくて済んだけど、普通は違うんだ。だからもう盗賊
いじめにはいくな。解ったな?」
といった。でも私はなんとなくこのまま言いなりになるのが嫌で
「だってガウリイ、盗賊いじめは村の人たちを守っているのよ。だったら良い
じゃない。」
と強がりを言った。それを聞いたガウリイは私の肩をつかんで揺さぶりながら
「おまえな、今回のように猿ぐつわをしちまえば魔術なんて使えないんだぞ
!!
それがどういう事だか分かっているのか?
魔術を使えなければおまえはただの女なんだぞ?
女の力なんて所詮男には通用しないんだ!
それがどういう事か分かってんのか?」
とまくしたててきた。その時のガウリイの瞳は本当に真剣で私を刺し殺そうと
するくらいにするどかった。脅えて固まってしまった私を見てガウリイは一度
目を伏せてもう一度私を見た。その時の瞳は今までとは打って変わって底知れ
ぬ優しい光を放っていた。
「リナ、おれは本当にお前を心配してるんだ。言っても聞かないだろうから盗
賊いじめにいくなとは言わないでも、行くんだったらおれもいっしょに連れて
け。そうしたら何かあったときに守ってやるから。」
その時私は心から思った。いつまでもこういう関係でいられれば…
 
P.S後日その街の近くで聞いた噂によると元盗賊団が今まで取った宝を遣っ
てその街に老人ホームや幼稚園、公園などを作ったり困ってる人を助けたりし
ているそうだ。
よきかな よきかな。
 
えんど
 


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