お酒は程々に!


「うっし、これでいいわ」
あたしは鏡の前で、今朝から何度同じ事を繰り返したかわからない行動をした。
あ、こんにちは私リナともうします。
今はPM4:45今日はこれからいつもの遊び友達6人組で遊びに行く為にちょっと
お洒落をしてみました。
いつもの6人組の紹介をすると、私こと超天才美少女魔道士である高等部2年のリ
ナ、ガウリイ大学部3年生、ゼルガディス大学部2年生、ルーク、ミリーナ大学部1
年生、アメリア高等部1年生です。私達6人が通うのは神坂学園といって私立の幼小
中高大一貫教育の学校なのだ。
お金持ちの子息、令嬢が通う私立校なのでとてもお金が掛るんだけど私は魔力が凄い
(当然[自慢])という事で特別な奨学金をもらって中等部から通っている。
なぜあたしがいつもよりお洒落をしているかというと、今日はアメリアが高等部に入
学したので厳格(正義に対して)なフィルさんからの許しがでたし春休み中なので夜
遅くまで遊べるという事で、アメリアがいつも行きたいといっていたクラブに行こう
という事になったから。
今日の私の服装はちょっと大人っぽく黒のワンピースの上にこれまた黒の短めレザー
ジャケット、そして背を高く見せる為の秘密兵器であるブーツを履いている。
「ん〜。そろそろガウリイが迎えに来るかな〜?」
などと一人ごとを言っていると、バイクが止まる音に続いて玄関のチャイムが押され
た音が聞こえた。慌ててベッドの上に置いてあったバックとコートを取り玄関に向か
おうとすると姉ちゃんの、
「リナ〜、ガウリイ君が迎えに来たわよ」
という声が聞こえてきた。下に降りて行くとニヤニヤした顔の姉ちゃんが。
「帰ってくるのは明日の朝?」
と聞いてきた。
「っ、ガウリイとはそんな関係じゃないわよ!!」
そう叫んだ時に顔が赤くなってしまって、それが楽しかったらしく姉ちゃんのにやに
や笑いはもっと凄くなっていた。こうなると姉ちゃんはまったく聞く耳を持たないの
でさっさとくつを履いて家を出た。
そこにはバイクに凭れ掛かるようにしてガウリイがいた。
「おまたせ」
と声を掛けるとガウリイは驚いた顔でこっちを見て感心した声で、
「“馬子にも衣装”ならぬ“リナにも化粧”だな」
と言ったので、あたしは俯きつつ素手でガウリイを殴り倒した。(本当はドラグ・ス
レイブを使いたかったが家にいる姉ちゃんのことを考えると後が恐いので)
「いきなりなにすんだよー!!」
と騒ぐガウリイにまだ拳を構えつつあたしは、
「ドラグ・スレイブじゃなかったぶんだけましでしょ!」
と言った。そりゃそうだと思ったのだろう、ガウリイはこれ以上の会話を諦める事に
したらしくバイクにまたがりあたしにヘルメットを投げてきて、
「早くしないと待ち合わせに遅刻するぞ」
と言った。本当はまだ殴り足らないけど遅刻するとアメリアに『遅刻するなんて正義
じゃないです。』と言われるので黙って後ろに乗りガウリイの腰に腕を巻きつけた。
「出発するぞー」
という声とともに走り出したバイクは20分程で待ち合わせの駅に着いた。
そこにはもう他の4人が来ていた。
 
「リナさん、ガウリィさん遅刻ですぅ」
アメリアが頬を膨らませて言う。
この調子だと相当今回のクラブを楽しみにしているらしい。
「いいじゃないの、クラブは逃げやしないわよ。」
「それは、そうですけどぉ」
まだ何か言いたげだが、こちらにはなにを言っても無駄と思ったらしくアメリアは一
つため息を吐いた。
アメリアはよほど今回のクラブが楽しみだったのだろう。
こっちには何も言わないが、うつむいて独り言を言っている。
「それよりもお前そういう格好をしていると...」
ルークが何か言いたげにこちらを上から下までしげしげと見る。
「...どうせ馬子にも衣装とかいうんでしょ?」
「いや、なんかドラまたにも衣装っていうか...」
あまりの事に思わず目が点になってしまった。
普通だったら、ミリーナしか見ていないルークがこんな事を言うなんて…
あたしったらそんなに美しいのかしら?まあ、素がいいってのもあるだろうけど。
 
 
電車に乗り終え駅を出てから5分くらい歩いて行くとガウリイが地下への階段を降り
ていった。
あたし達もそれについて行くと 踊り場に出た。
そこでお金を払いそれぞれ男性陣にエスコートされて、お店の中に入っていった。
店内にはうるさいほどの音量で音楽が流れていた。
流行の曲だと思うのだが、うるさくてよく分からない。
アメリアはよほど珍しいのか周りをキョロキョロ見回している。
周りにいる女の人たちは美男子2人の出現にこちらをじっと見ている。
ちなみに二人というのはガウリイとゼルのことである。
もちろん、ルークは入っていない。
と、突然私達の目の前に突進してくる猪が現れた。
…いや、猪ではなく。ゴリラだった。
(いや…猪突猛進って感じだったから…つい、ね)
私達(アメリア、ミリーナ、あたし)はあっという間にそれに囲まれてしまった。
男達はただ呆然とそれを見ていた。
(たくっ頼りないんだから)
と、胸中で愚痴る。
しかし、都会の真ん中でゴリラに遭遇するとは…
いや、よく見るとゴリラではなく、ごつい男達だったみたいだ。
「な、何かようですか?」
なんとなく身構えながら聞く。
ミリーナはそれでも冷静に構えているあたり、凄いと思う。
アメリアはアメリアで興味津々といった顔で見ている。…状況解ってないな。
この状況でまともな反応してるのって、あたしだけ?
と、突然男の一人が口を開いた。
「一緒に楽しい夜を過ごしませんか?」
は?な、何を突然!
まあ、声をかけたくなる気持ちはわかるけど…
この場合ものすごく迷惑。
ん〜、どうしよっか?
あたしが悩んでいるとガウリイ、ゼル、ルークの三人が男達と私達の間に入り込んで
きた。
「悪いが、こいつらは俺達の連れなんでな。」
そう言ったガウリイの顔は一見ニッコリと笑ってるようだが目は鋭い。
ゼルもアメリアの手を握ってるが鋭い目付きだ。アメリアの顔は真っ赤だし、
うふ、よかったなアメリア!
あ、あっちでミリーナにしがみついてガン飛ばしていたルークがミリーナにドつかれ
てる。
男達はガウリイとゼルの睨みに耐えられなくなったようでスゴスゴと退散していく。
その男達が退散して行くとガウリイはこっちに向き直って
「あ〜ゆ〜のに甘い顔をしちゃだめだ!」
と一言言った。
それでもまだ何か言いたいのかこっちをじっと見てくる。
うぅ〜〜〜〜直ぐ断らなかった事を怒っているんだろーか?
そんな事言ったってこういう場所初めてなんだもん、ちょっとは興味あるチュウネン
(ハッピーカムカムのタッツ)
「まあまあ、旦那もそんなに怒るなよ。何にも無かったんだし」
と助け船を出してくれたのはゼル。手に持ったお酒の入ったグラスのうち一つをガウ
リイにわたす。
見るとアメリアやルークとミリーナもグラスを持っている。
ミリーナはあたしにもお酒の入ったグラスを渡してくる。
まぁ、飲めない事も無いんだけど。飲みながらアメリアのグラスを見るとアメリアの
もお酒っぽい
おいおいアメリア酒飲んでいいのか?
「アメリア、アンタまだ未成年でしょ?」
「リナさんこそ大丈夫なんですか?言っときますけどこれはジンジャーエールです。
それより…リナさん、なんかさっきから視線が突き刺さるんですけど…?」
そう言われてまわりを見回すと、辺りの女の子から明らかに嫉妬だと思われる視線が
私達に刺さってくる。
おひ、中には男からのも少なくないぞ!
もしかして今流行のゲイ?
それともミリーナとアメリアへか?
確かにミリーナは大人っぽくて落ち着いてるし、アメリアはあたしより可愛くて胸も
あたしよりちょっと大きいし…
イカンイカン、お酒を飲んでいるからか考え方がどうも悲観的になってしまう。
あたしはそう思うとグラスの中のお酒を一気に飲み干した。
それから皆と話したり、ガウリイやゼルそれになぜかルークを誘いに来る女の子を追
い返したり、ミリーナ、アメリアそれにあたしを誘いに来る男の子を追い返したりし
て(そのたびにルークは『ミリーナはオレノ物だ〜』と叫んでミリーナに『私はあな
たの物じゃありません』と言われて拗ねる)時間は過ぎていった。その間もあたしは
お酒を飲み続けて、帰る頃にはもう足がふらふらだった。
 
酔ってたあたしは帰りの電車の中で寝てしまった。
 
 
朝、気付くと金色のふわふわのキラキラ(意味不明)があたしの目の前にあった。
まだ寝ぼけてたあたしはなぜか枕がいつもより固いと思いながらも、 となりに何か
があってその何かはとっても暖かいなぁ〜と思った。
思わずその何かにきゅっとしがみ付くと、その何かも私の背中をきゅっと抱きしめて
くれた。
うにゃ〜目茶苦茶気持ちい〜
そんなことを思ってると次第に意識がハッキリしてくる。
そしてあたしは金色のふわふわキラキラがガウリイの髪で、枕はガウリイの腕で、暖
かい何かはガウリイ本体だった事に気付き思わず顔を真っ赤にしながらガウリイを
ベッドから突き落とそうとしたがガウリイはびくともせず代わりにもっと抱き付いて
きた。
そこであたしはいつも懐に隠し持ってる乙女の必須アイテム(はあと)スリッパでガ
ウリイを殴った。
ん〜、朝からすがすがしい音。
それでやっと起きたガウリイはうっすらと目を開けながらまだ眠そうに
「リナ?おはよう。なんでお前がおれの部屋に居るんだ?」
と聞いてきた。
「何、朝から脳みそクラゲ大爆発してんのよ。ここはあたしの…」
と言ってて気が付いた。確かにここはあたしの部屋じゃなくガウリイの部屋だ。
あり?なんであたしこんなとこに居るんだろ?
そう思っていると、眠そうに目をこすってたガウリイが何か思い出したようにポンと
手をたたいて言ってきた。
「そうだ、思い出した昨日の夜リナが酔ってベロンベロンになっちゃって電車で眠っ
ちゃったから、バイクに乗せられなくってしょうがないからオレの家に連れてきたん
だった。」
そう言ったガウリイは、昨日は大変だったんだぞ〜等と言っているような気がしたが
あたしにとってその答えはとても大きな心配事を二つ齎した。
まず一つ目の質問をガウリイに告げる、
「ガウリイ、あたしに…あの〜んと、その〜」
なんと言ったら良いのか困っている私を見つてガウリイは、
「なんだ?」
と聞てきた。
「んっとだからその…あたしに…変な事してないよね?」
どうも尻すぼみになってしまうのだが、上手く聞き取れただろうか?
案の定ガウリイは、
「はぁ?」
と聞き返してきた。
「だ〜か〜ら〜私に変なことしてない?」
今度は大きい声になってしまった。
それを聞いたガウリイは一瞬『ん?』っという表情をしてから呆れたような表情に
なって、
「お前相手に変な気起こしたら俺本当に殺されちゃうだろ?」
と言ってきた。ったく失礼なヤツ。でもなんでだろ?今胸がチクッとした。
でもあたしにはもう一つの心配の方が最重要でしょうがなかった。
すなわち、姉ちゃんが怒ってるのではないかという事。
行きがけにあんなことを聞いて来たが、ヤッパリ無断外泊は怒られるのではないだろ
うか?お仕置きだけはなにがなんでも絶対嫌だ〜〜〜〜〜!!
青い顔をしながらも取りあえず家に電話をしようと思いガウリイに『電話貸して。』
といおうと思ったときガウリイがまた手をポンとたたいた。
「そうだ、忘れないうちに行っとくな。お前の姉さんから電話があってな、お前の事
よろしく頼むって行ってたぞ。」
はう?と言う事は帰ってもお仕置きはないのか?
ホォ――――――――よ〜かったぁ〜叱られなくてすむ〜
んにゃ〜安心したはふ〜〜〜〜
あり?あたしが自分の世界に入ってるうちにガウリイはまた寝てしまった。
その寝顔があまりにも可愛くて暫し見とれてしまう。
こいつこんなに睫毛長いんだ〜。それにお肌つるつるだし、
髪はさらさらだしetc.etc.
もしかしてこいつ化粧するとそこらの女の子より奇麗なんじゃなかろうか?
うき〜〜猛烈に化粧したくなってきた。
ウヒヒ、ガウリイ君は寝てるしねぇ〜。
んふ、ガウリイ、あたしが可愛くしてあ・げ・る(はあと)
こいつの場合ファンデーションはあまり塗らない方がいいかな?
口紅はピンク系の方が良いだろうし…口紅かぁ…昨日私を運ぶの大変だったろうな。
あたしの家よりガウリイの家の方が近いったって、
歩いて20分はかかるだろうし…う〜みゅ…
そう考えると、やおらあたしは自分の口にガウリイにつけるはずの口紅を塗った。
「これは昨日のお礼ね。」
そう言ってガウリイに口付ける。
なんとなく顔が火照ってしまったが、口紅は一様奇麗に付いた。
う〜〜なんかお腹空いたぁ。
冷蔵庫になんかあるかな?
そう思ったあたしは、キッチンに行って冷蔵庫を物色し始めた。
その成果は卵が4個とワカメ、豆腐、鮭、ほうれん草、それからふと横の炊飯機を見
ると残りご飯があった。
う〜ん、これは定番の日本の朝食というものを作りますか?
そう思ったあたしは鮭を網で焼いて、卵には出汁を入れて出汁巻卵。
それから豆腐とワカメの味噌汁を作って―――
 
ガウリイが起きた頃にはもう全部仕上がって並べるだけになっていた。
起きてきたガウリイに『おはよう』と言おうと思って後ろを振り向くと、
そこにはお化粧をした事を気付かずにいる物だから目を擦りまくって
パンダと化したガウリイがいた。
フゥ〜あやうく笑うところだった。
私は必死になって笑いをこらえて、
「ガ、ガウリイ、か、顔洗ってきたら?ご飯できてるから。」
やっとのことで笑いを堪えてガウリイを洗面所に向かわせる。
その数十秒後ガウリイの『アァ〜〜〜〜〜!!』という声が部屋中に響いた。
「ガウリイ君そんなに騒いだらお隣の方に迷惑ですよ!」
わざとお母さんのような口調で言うと、顔を俯き寡言にしながらも頭に怒りマークを
くっ付けたガウリイがあたしの方を向いてそこで顔を上げると結構恐い瞳が目に入っ
た。うぅーんこれはちょっぴしヤバめ?そう思ったあたしはさっさとガウリイの機嫌
直し計画に入った。
「まぁそんなに怒らないでよ〜。ほろ、朝食作ってあげたからね?」
まだそれでも怒りは収まらないようだが、腹が減っては戦は出来ぬ精神でひとまず朝
食を取る事にしたらしく、また洗面所に向かって行き化粧を取り始めた。
 
さてガウリイが洗面所から出てくるまでに並べとかなくては、また怒られてしまう。
あたしは腕によりをかけて作った朝食を目の前に並べた。今日のメニューは二日酔い
を考慮したアッサリ味で責めてみた。
鮭のお粥と出汁まき卵それから味噌汁だ。
まぁ、ガウリイには二日酔いなんか関係無いんだろうけど。
そんなことを考えてるとガウリイが洗面所からでてきた。
まだちょっぴし怒ってるようだが…?
それでも、目の前に並べられた食事のにおいには勝てないようで
席に座るとものすごい勢いで食事を食べていった。
まぁ、あたしも負けない勢いで食べたけど。
食べ終わって一息ついているとそれまで一言も喋らなかったガウリイが
口を開いた
「お前さっき俺に何したか覚えてるか?」
まだ少し恐い瞳であたしに聞いてきた。うぅ〜〜恐ひ
「ゴメン〜だってぇ〜ガウリイがぁ〜あまりにも奇麗だったからぁ〜
つい〜ゴメンて〜ねぇ〜だからゆ・る・し・て(はあと)」
「そんな事言っても俺には通用しないゼ?」
ちっ!やっぱりぶりっ子はきかないか?うーんこりは素直に謝るしかないか?
「だからゴメンて言ってるじゃない。それにちゃんと朝ご飯作ってあげたでしょ。」
いきなり開き直ったあたしにガウリイは呆れた目を向けてきた。
「ふぅん〜そうゆ〜事言うんだ〜」
な、なによぉーだから謝ってるのに。
「まぁ、そういう事だから俺が何してもお前は文句言えないよなぁ〜。」
あ、あれ?ガウリイの目がさっきとは違う方向に恐いんですけど…
なんて言うか、にまぁ〜って感じなんですけど?
「んじゃあ今日も一日長い事だし気長にやりますか。」
そうして、あたしのもっとも長い一日は幕を開けたのだった。
『だ、誰かお願い、ぷりぃ〜ず へるぷ みぃ〜〜〜〜〜〜〜』
 
おわり
 
後書き兼設定
まじゅは読んで下さりましてありがとうございました。
そして設定と言うか何と言うかなのですが
ガウリイちゃんとリナちゃんは友達以上恋人未満(?)なのですが
キスはしてます。(←これじゃあ恋人同士だ)
それとガウリイちゃんは一人暮らしで1DKのお家に住んでます。
そういうふうに考えて頂くと大分話が理解できる代物になるのでは?
と思います。
んでは、目茶苦茶長い話を読んで下さってありがとうございます。
 

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