「ガウリイとリナについて」視点がたくさん♪


ガウリイとリナについて。
~ゼルガディス視点~



「また始まった。」
俺はコーヒーを一口。
目の前に広がる光景にうんざりした。
「ガウリイ!あたしのだかんねその肉!
って、言ってるそばから食べんなぁ!」
グベ
「リナ!なにするんだ!いきなり蹴るなぁ!」
「そっちが悪いんでしょうが!てい!!」
「ああ!俺の鳥肉さんが!ていっていてい!」
「キャーあたしのステーキがぁ!」
はぁ…。
いつものことながらすさまじいな。
大きなため息を一つ。
栗色の髪の自称天才魔道士、リナ。
その保護者である、黙っていれば俺なんかよりもかなり美形な金髪長身の男ガウリイ。
二人の関係は掴みかねている。
リナは完全に旦那に惚れてる。フィブリゾの一件がいい証拠だ。
ガウリイの旦那はリナに惚れている、はず、だ…
自分のことをリナの保護者と呼び、もうかれこれ二年は一緒に旅を続けている。
俺だったらアメリアとそんなに長く旅して何もないはず…。
―――俺のことはいいとして。
一回ガウリイの旦那にその辺のことを聞いた事がある。
ガウリイの答えはこうだった。
『リナが大切なんだ。守ってやりたいんだ。すべてから。だからリナと一緒にいる。』
本当に大切に思ってるから、いたわってるからこそ保護者なんて出来るんだろうな。
その言葉を聞いて俺はそう思った。
保護する側と保護される側。
恋人同士。
そんなもんでは割り切る事が出来る関係ではないのだ、二人は。
ふっ、俺にはまねできんな。
………。
「キャー、ガウリイよくもおおおお!」
「ふ!よそ見するやつが、って、ああ!いつのまに、俺のから揚げを!」
………。
「お前ら!人が浸ってるときぐらい静かにしろ!!」
と、いいながらなぜか、口が笑ってしまう。
これが二人の…なんて、思ってしまうと、な。



ガウリイとリナについて。
~アメリア視点~


「リナさん。起きてますかぁ。」
あたしは隣ベットで眠っているリナさんに話し掛ける。
返事は、返ってこない。
そっと、覗いてみるとリナさんは気持ちよさそうに眠っていた。
女の子のあたしから見ても、かわいい寝顔。
リナさんは、本当にかっこいい。
生き方も、物の考え方も。
そして、恋愛の仕方も。
今日、思い切ってリナさんに聞いてみた。
『リナさん、好きな人っているんですか?』
って。
リナさんの答えはこうだった。
『いるわよ~そりゃ。アメリアのことももちろん好きだし。ゼルもね。シルフィールだっていい子だし。フィリアもヴァルガーヴも、みいんな好きよ。ゼロスは、どうかしらね。』
一人、足りない。
『あの、ガウリイさんは?』
あたしの問いにリナさんはちょっと俯いた。
『ガウリイ、か。分かんないな。それは。
あたし、ガウリイにだけみんなと同じ気持ちが持てないの。好きとか嫌いとかじゃなくて。ただ、……。
ガウリイが居なくなったとき、あたしの横がすーすーするのがいやなの。
この世に自分一人だけになったっていう感じがして…。
―――……。
だあああ!止め止め!アメリアも早くねなさい!夜更かしは美容の天敵!!』
リナさんは、そう言うと一人ですぐに寝てしまった。
リナさんの言ったことは、遠回りにガウリイさんのことが好きってことだった。
リナさんは多分自覚してない。
また、ガウリイさんも。
コンコン。
ドアをノックする音。
出てみるとそこにはガウリイさんが立っていた。
「ガウリイさん、どうしたんですか?こんな夜中に。」
「いやぁ,リナがちゃんと眠ったかな、と思って。ほら、あいつ今日なんか体調悪かっただろ?」
ぽりぽりっと頭を掻くガウリイさん。
「くすくす。大丈夫です。心配しなくても。ぐっすり寝てますよ。何なら見ていきますか?」
「あ、寝てんならいい。悪かったな起こして。」
ガウリイさんはそう言うと自分の部屋に戻っていった。
その時、あたしは思った。
ゆっくり育まれた愛情ほど強いものはない、と。
負けちゃいられませんね。ゼルガディスさん!



おまけ。
ガウリイとリナについて。
~ゼロス視点~


「ゼロス…あんたやつれた?」
上司であるゼラス=メタリオム様はため息交じりに言った。
「そっそうでしょうか…。  
 そう言えば最近負の感情を食べていませんし。」
「食べてない?人間のそばに居ながら?」
「はぁ。まぁ、全く、という訳ではないんです。ある魔道士さんが盗賊団を潰してくれますから。彼らの負の感情はいいですよ。」
僕の言葉に獣王様は少し怪訝な顔をなされました。
「ゼロスちゃん…あんな人間のそばに居る間に味覚が破壊されたのねぇ…。ママ悲しいわ。」
瞳を潤ませておっしゃられても…。
「でも、確かにあの人間達…負の感情ってものがないわねぇ。
見てる限りじゃあのリナ=インバース、って仲間どつきまわしてるじゃない。確か…ガウリイ=ガブリエフとかいったけ。」
「はぁ。でも、ほんと、お二人とも不思議なくらい負の感情を持っておられませんから、獣王様がそうおっしゃられるのも分からなくないんですが…。時々ガウリイさんが他の女の方と一緒におられるとリナさんはものすごく美味しい感情を食べさせてくれますし。これはガウリイさんにも言えることですし。俗に言う『嫉妬心』というやつです。」
僕には分かりませんが…。
「ふうん。んで、ゼロスは見ててどう思う訳?あんたがずっとそばに居て見てるってことはそれなりに理由があるんでしょ?」
「はい。まぁ。
見てて飽きないんですよ。お二人とも…。邪魔のしがいがあるというか…。
気分は少女漫画の悪役といったところでしょうか。
まぁ、時々あまりの二人の仲の良さに右腕が吹っ飛んでしまうことがありますが…。」
「ふうん。それなりに満足してるのね。でも、あんたが何かしら小細工して手伝ってやってるってのに進歩のない二人よね。」
「そこがいいんですよ。簡単に恋人同士になられても面白くありません。」
「そう…。」
「じゃ、僕はこれで。やる事がありますので。」
言って、僕はゼラス様の部屋を後にした。
ゼロス様のおっしゃったとおりあのお二人はちょっと…いやだいぶ鈍感ですが、
そのもどかしさもまた一興といったところでしょうか。
アメリアさんとゼルガディスさんにでも頼んでまた一計を案じましょうか。
不思議な薬も手に入った事ですし。



あとがき

ふう。
思い付きだけでここまで書きました。が、
ガウリイとリナがちょっとしか出ないガウリナ(と呼べないかもしれない。)を書いてしまいました…。
ゼルの最後の科白はお好きな言葉をお入れ下さい。(^^)
ゼロスに関しては、ガウリイとリナについて、というよりも、シンプルの前のゼロスの気持ち、と思ってください。
なんか、まともに恋愛の事を考えているのはアメリアだけでしたね…。

どうもありがとうございました。
        葵

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