「リナちゃんのひ・み・つ」んま、ドキドキ♪  


その朝の 目覚めは最悪だった。あたまんなかで、なにかが足踏みしてるし
しらんまに目に涙なんぞが浮かんでる。
「きぼちわるい・・・・・・」
なんかはきそう。
そのとき、あたしのあたまを誰かがおもいっきりはたいた。
ドンドン
「おーい、リナ。まぁだ、寝てんのか?」
ちがった、旅のおとも、自称あたしの保護者が、ドアを叩いたのだ。
「お...き......て...る」
ひとこというにも息がきれる。
「おい、どうした?!」
ドアのむこうであせった声がした。と、同時にドアがあく。オイ、いま鍵こわしただろ。
「どうした?えらく顔色がわるいぞ!」
「もすこし、ちいさなこえで 話して.....」(涙)
「俺はふつうにしゃべってるぞ?」
「でも、あたまに ひびくの」
繊細で、可憐な美少女が涙しとるのがわからんのか......
さすがにいつもと違うあたしの様子にきづいたか、ガウリイが眉をひそめ
おでこにてをあてようとした。まずい、これ以上近づかれては。
きづかれちゃう。そして、やっぱり彼もその匂いにきづいた。
「!あー!おまえ、きのうやっぱり、酒をのんでたな!」
「おーきな、こえださないで.......ただでさえきぼちわるいのに」(涙)
そう、おさっしのとおり、あたしは二日酔いよ。
この町の名物、ベリージュースとガウリイにはいつわり、醗酵させて
発泡酒になったほうをしこたま飲んでしまったのだ。
「だから、いっただろ!発泡酒はただでさえまわりやすいし、ぬけにくいのに!て、おい!リナどうした。」
抗議しようとして身体をおこそうとしたとたん、部屋が紫と黄色になってぐるぐるまわりだし、深い穴におちこんだような感覚に襲われる。ガウリイが支えてくれなかったら床にキスするはめになったところだ。
まだなんだか 床と天井がしょっちゅういれかわってる、しらないまにあたしは涙を流しながら彼の首にしっかりしがみついていた。
「きぼちわるい、はきそう」
ガウリイがあわててあたしを抱いて洗面所につれていく。
洗面所には いったけれど、はきそうではけない。うー、のどんとこでとまってるぅ。
しんどいよー。泣きながら、洗面台にしがみついてるあたしの背中をガウリイがさすってくれる。
「このままじゃらちがあかんな。おい、ちょっとだけがまんしろよ」
いうなり、あたしの口に指をつっこんだ。(ば、ばかー。なにすんのよ!)

,,,,,......おかげで、はきだせたけど。
そう、吐いちゃったおかげですこし、胃のムカムカはおさまったがまだ、涙はとまらない。おまけに頭痛はひどくなるいっぽうで、頭もあげられない。
せっかくガウリイがもってきてくれた朝食も匂いをかいだだけで、気分が悪くなり、水をちょっと飲むのがせいいっぱいだった。
「なにか飲まないと二日酔いは治んないぞ」
宿の奥さん特製の二日酔いの薬さえ、吐いてしまった。

で、結局 医者を呼んだんだけど。こいつが開口一番、とんでもないことをいった。
「で、おふたりのご関係は?」
「はぁ?」
「だから、ご夫婦とか、恋人とか。あるじゃないですか。」
.............おもわず、身体をおこして呪文を唱えかけた。 その瞬間わすれてた
頭痛でベッドからころげそうになる。はずだったが、あり?いつのまにか、あたしはガウリイのうでのなかにいた。
「俺はこいつの保護者だが」
「そうですか。あまり似てらっしゃいませんがご兄弟かなにかですか?」
「いや、兄弟ってわけじゃないんだが」
「そうですか。聞き方がわるかったですね。つまり僕がおききしたいのはお二人に肉体関係があるかどうかってことなんですが?」
「それとあたしの二日酔いにどんな関係があんのよ!」

あたしの絶叫に、その医者はにっこりわらって、
「関係ありますよ。あなたが若い女性であるかぎり。」
「だから、どうして!」
「治療にあたって、まず若い女性の場合は妊娠してるかどうかで、治療がかわってきますから」
にこやかな表情でその医者は続ける。
「若い女をみたら、妊娠とおもえ。というのは医者にとって常識ですよ」
んな、常識しるかぁ!とあばれだしたかったが、まだ自由に体が動かせない。
くっそう
起きれるようになったら目にものみせちゃる!
あたしの身体をかかえながら、それをきいて笑うガウリイのみぞおちにエルボーを
いれる。
なにがおかしい!
「ぐうっ」
それでも、支える手がそのままなのはえらいけど。
「妊娠なんてことだけは、きっぱりくっきりないわ!」
「それならけっこうです。」

結局、脱水がひどいのに体が水分をうけつけないため、その医者が麗和浄(ディクリアリィ)をかけていった。
意外に良い腕をした魔法医だった。
その日はさすがにスープしか体がうけつけなかったが、あのしつこい頭痛がきえただけであたしは充分うれしかった。

問題は次の朝だった。
食堂でいつものように、モーニングセットを5人前注文したんだけれど。
........身体が重い。吐き気はないんだけど、何を口にいれても砂を噛んでるみたいで味がしない。
「おい、リナ!」
「ん、なぁに。ガウリイ。」
「もう、二日酔いはなおったんだろ?さっきからなんで香茶しか飲んでないんだ?」
「この、ハーブティーすっごくおいしいし、さっき水分摂るようにいったのあんたじゃない。」
「医者は水分をとるほうがいいといったんだ。水分だけ摂れといったんじゃない。」
「(いらんときに思考力を発揮するやつ)ちょっと今朝は、たまたま食欲がないだけよ。」
「顔色も悪いし、なんかだるそうだ。」
つと、たった彼があたしの額の髪をかきあげおでこをあわせてきたのに驚いて避けようとしたが肩をしっかり押さえられている。
「あんま、熱というほどじゃないが身体が熱い感じがするし、今日はこのままやすんどいたほうがいいな」
こ、こひつ、なんてことをひとまえでぇー!おもわず たちあがり、攻撃呪文を唱えかけたあたしの視界が暗転した。

 

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