「一年後の未来に。」はっぴばーすで〜♪

今日はあたしの誕生日。

 

あたしは窓際で、ぼーっと外を眺めていた。
天気は晴れ、風も良い。
絶好の誕生日日和・・・かどうかは知らないが、良い気候だった。
ふわりと自慢の栗色の髪がなびく。
「もう一年も経つんだ。案外早いもんねぇ」
誰にとでもなくつぶやいてみる。

一年前のあたし。

思い出してみると。

人が近寄ってくれても、平気で突っぱねた。
人を馴れ馴れしく思うだけで。
仲間の意味も分からなかった。

何も考えてなかった。
いや。考えていたかもしれないけど・・・何を考えていたか、どこまで深く考えていたかなんてもう忘れた。
ガウリイじゃないけど。

 

そう。・・・ガウリイだ。
あたしはガウリイと出会ってから、変わっていったように思える。
ガウリイと出会って。
パートナーを知った。
信頼を知った。
仲間を知った。
そして・・・・・・

 

こんこん

「ん?」

ぼーっとしていたあたしの耳に届いた音。
不思議に思って、あたしが音の方に視線を合わせると、そこには窓からひょっこりと顔を出した人物がいた。
「ガウリイ!? ちょっとあんた何やって・・・何階だと思ってんの、ここ!」
今のはガウリイが窓の桟を叩いた音らしい。ノックのつもりだろう。
あたしは慌てて駆け寄る。
落ちられでもしたら、治療費がかかる!・・・・・・・・・かもしれない。
しかしそんなあたしをよそに、ガウリイは何やら機嫌良く、にこにこと笑いながら、
「ほら。リナこれ」
と、あたしに両手を差し出す・・・・・・え?
あたしは一瞬、口をぽかんと開けた。
差し出されたものに対し、嬉しいよりも、呆然とした面持ちで。
「何よ、これ・・・」
あたしは、受け取ったものを両手に抱え、それをじっと見つめる。
「何って。花だよ」
花・・・そりゃ確かに花なんだけど・・・
「・・・なんでまた?」
そう聞いてみると、ガウリイは照れくさそうに笑う。
「いや、な。ちょっと散歩に出てたんだが・・・何か綺麗な花が咲いてたから。それで」
それで・・・あたし、に?
「それは・・・わざわざ・・・・・・・・・ありがと」
あたしは何か照れくさくて、いい言葉をかけられない。
「どういたしまして」
ガウリイはそれでも、にっこりと笑って返した。
あたしはもう一度ガウリイに貰った花を見詰める。
普段、花に別段興味があるわけじゃないけど、自分が貰ったものだと、まじまじと見てしまう。
「綺麗だろ?」
「うん」
あたしはこればかりは素直に頷く。ガウリイは満足げにあたしの髪をくしゃりと撫でた。
その動作であたしはふいに思い付く。
あたしはとりあえずガウリイを窓から部屋に招き入れると、
「あのね。そんな風に子供扱いしないで。あたし、誕生日来たから」
「へーっ、知らんかったぞ。オレは。で、何歳になった?」大袈裟に驚くガウリイにあたしは笑いながら、
「れでぃに歳を尋ねるのは失礼ってもんよ。ガウリイ。それに、考えてみなさい。すぐ分かるから」
「そっか」
頷いてガウリイは考え出す・・・・・・って、ちょっと。
ガウリイが知っているあたしの歳に1をプラスするだけなんだけど・・・?
「・・・まさかガウリイ。あたしの前の歳忘れたんじゃないでしょーね?」
「いや・・・・・・まあ・・・・・・・・・っと、リナ。それで、お前さんの誕生日っていつだったんだ? オレ、教えてもらってない気がするんだけど」
「また忘れたんじゃないの?」
あたしが冷ややかな声で言ってやると、ガウリイの額に汗が浮かぶ。「う・・・・・・でも・・・聞いた覚えはないぞ・・・・・・誕生日はもう来た、って言われたことはあった
気がするんだが・・・・・・
今日もそうだし・・・」
あたしがなおかつジト目で見ると、ガウリイは慌て出し、
「お前さんの誕生日だったら、いくらオレだって忘れないって! な、教えてもらってないよな、オレ!」
そして祈るようにじっと見詰めてくる。
うーん、ま、楽しいものを拝ませてもらった。
「はいはい。教えてないわよ。誕生日なんて、教えても仕方ないし」
あたしは軽く笑ってぱたぱたと手を振る。
「でもな、教えてたら・・・今年くらいはオレ、プレゼント用意できたのに・・・」
言うガウリイはなんだか残念そうで、あたしは明るく笑い返し、
「そんなことないわよ。現に今、ちゃんと貰えたしね」
あたしは貰った花を抱えたままドアの方へと歩き、くるりとひとつターンをする。
「せっかく貰ったことだし・・・宿屋のおばちゃんに花瓶と水、ちょっと分けてもらうことにするわね」
あたしはぽかんとしたままのガウリイにまた背を向けてドアノブに手をかけると、
「そーだ。ガウリイ、今夜のお食事は豪勢に行くわよ。楽しみにしてなさい。 なんたって今日は・・・・・・
あたしの、誕生日なんだから!」
あたしは一瞬ふりむいて、ガウリイの顔をちらりと見ると、足早に階下の食堂に降りていった。

 

ガウリイは、驚きながら、笑ってた。

自分が腕に大事そうに抱えるものを見て、あたしは。今更だけど。後から嬉しさがこみ上げてきた。
だって。ガウリイがあたしに・・・これって、珍しくて、凄いことじゃないだろうか?
そう考えただけであたしは、はたから見たら怪しいだろうなー、とか思いつつも、くすりと笑えてくる。
ガウリイから貰った花に頬をすり寄せる。

 

こんな誕生日もいいかもしれない。故郷じゃないし、家族は傍にはいないけど、あたしの、パートナーが、相棒が・・・ガウリイが、祝ってくれるなら。

 

また祝ってくれるだろうか?
一年経って。今年よりも変わっているだろう、あたしを・・・・・・



まてよ。そういえば、ガウリイの誕生日は?

 

『また一年後の未来に・おわり』

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ここからやや独り言です。

さて。
これは自分に捧げたおはなしなんですが・・・
ごく一部を除いてすべて自分の場合とは違います(笑)。
窓から王子様(ガウリイ・笑)が、自分にプレゼント渡しに来てくれなかったし・・・って何を言ってるんだ(笑)。
でもプレゼントは貰えました♪
その貰った時の気持ちにリナにはなってもらいました(^^)

もちろん花じゃないですが(汗)。うーん。なぜ花?(笑)。
今回のなんだか少女漫画っぽいかも・・・これは・・・趣味?(汗)
とりあえず無事書けてよかったです(^^)一日・・・遅れたけど(涙)。

それでもめげずに、それではまた♪

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