「夜の星空のように」


Gaurry Side

「ったく、いきなり寝るか?ふつー。
子供用とはいえ、あんなにガバガバ飲むからだぞ…。」
俺は背中で酔いつぶれて眠っているリナに言う。
聞こえてないとはおもうが・・・。
ーーー今日のリナはあれていた。
普段あまり飲まない酒をやたらガバガバ飲んでたし。
俺は・・・今日何もしてねぇよな。今日何かあった、といったらシルフィールに久しぶりに会った事ぐらいだが・・・。
うーん。
「しかし、あれだけ食ってんのに軽いな。さすがに・・・。もうちょっとぐらい太ってもいいとは思うんだが・・・。そうすれば胸も少しは・・・。」
「ガウリイ?お花畑が見たい?」
後ろから怒気をはらんだ声が聞こえる。
「リナ、起きてたのか・・・。はは。」
「そりゃね、耳元でぶつぶつ言われたら誰だって起きるわよ。
 どっかのクラゲならまだしも。」
言ってリナは静かになる。
あれ・・・。二、三発ぐらいは殴られると思ってたのに。
『なんであんたがおんぶしてんのよ!』って。
「リナ?お前どうしたんだよ今日。珍しくろれつもちゃんと回ってるし。
 何かあったのか?」
「ーーーーー何にも無いわ。」
「ま、それならいいんだが。宿までもうすぐだしまだ寝てろよ。」
「ん。そうする。」
こてっとリナは自分の頭を俺の背中に預けた。
 
「・・・ガウリイ?」
「何だリナ、起きたのか。
 宿はまだだぞ。迷ったから。はっはっは。」
「そう・・。」
あれ?リナが必殺スリッパアタックをしてこない・・・。
「リナ?
 ーーーーーーーリナ!
 止めろ!ぐるじい死ぬぅぅぅぅぅぅ。迷ったのは確かに悪かったぁぁぁぁ!」
俺の言葉に今まで首にまとわりついていた小さな手が離れる。
一瞬の沈黙。
「ガウリイ、いっちゃうの?」
まるで子供のような声。
「へ?どこへ行くんだ俺が??そっそりゃ迷ったが・・・。」
「違うよ。シルフィールのとこ。」
「なんでそう思うんだ?」
「だって今日言ってたもん。シルフィールにそこそこの魔法剣が見つけられたってい ったら、ガウリイを連れてくって。
 あたしにはガウリイと一緒にいる理由がもう無いって。」
「お前、まさかそれでずーーーっと機嫌悪かったのか?」
「っち、ちがうわよ!」
わかりやすいやつ。
俺は足を止め、上を見上げる。
「リナ、上向いてみろよ。」
「上?・・・星が見える。」
「だろ?」
「何いってんのよ!当たり前の事じゃない。」
「そうだろ?だから俺は、夜になると星が出るように、朝になったら日が出るように ごく当たり前にお前のそばにいたんだ。これからだってそうさ。
 いったろ?一生お前の保護者してお前を守ってやるって。」
「そう・・・、そうだね。ガウリイ。あたし何考えてたんだろ。
 ずっと。一緒だよね。ガウリイ。」
「おう!一生な。リナ!
 ・・・リナ?寝ちまったのか。しょーがねぇな。」
リナの寝顔を見るとつい笑顔がこぼれてしまう。
一生、この少女と一緒にいよう。守ってやろう。
この寝顔をが見られるように。
「おやすみリナよい夢を・・・。」
俺はリナの髪にそっと口付けをした。
 
(つぎはリナサイドです。)
 
Lina Side
「え、見つかったんですか?魔法剣。」
嬉しそうなシルフィール。
「まあね。光の剣には劣るけど。今日はこれだけを言いに来たの。」
言って席を立とうとするが、シルフィールに呼び止められた。
「なに?」
「リナさん、私、前にも言いましたよね。
 これでリナさんはガウリイ様と一緒にいる理由がなくなりましたよね!」
ずきん
「リナさん、私、ガウリイ様と・・・。」
ずきん
「一緒にいてもよろしいんですね。リナさんにはガウリイ様と一緒にいる理由が無  いのですから・・・。」
ずきん
ずきん
ず・・きぃぃん
 
「リナ!お前そんなに飲んだのか!」
トイレから戻って来たガウリイが声を上げる。
「別にいいらない。らまには!」
「お前もう既にろれつが回ってないぞ・・・。」
「うるらあい!・・・うるらい。くーーーーーーー。」
 
気がつくとあたしはガウリイにおぶわれていた。
ガウリイの呟きで目がさめたのだ。
「ガウリイ?お花畑みたい?」
後ろからそっと声をかけてやる。
「リナ、起きてたのか・・・。はは。」
「そりゃね。耳元でぶつぶつ言われたら誰だって起きるわよ。
 どっかのクラゲならまだしも。」
もちろんこれはいぢわるである。
「リナ?お前どうしたんだよ今日。珍しくろれつもちゃんと回ってるし。
 何かあったのか?」
ガウリイ・・・見ぬいてるの?あたしの気持ち・・・。
ーーーーまさかね。
「ーーーーー何にも無いわ。」
「ま、それならいいんだが。宿までもうすぐだしまだ寝てろよ。」
やさしい、ガウリイの言葉。
「ん。そうする。」
あたしはガウリイの背中に自分の頭を預けた。
 
恐い夢を見た。
フィブリゾが、ゼロスが、シルフィールが、
ガウリイをあたしの手の届かないところへ連れていってしまう夢。
いかないで!ガウリイ。あたしと一緒にいてよ!
ガウリイ!
「・・・ガウリイ。」
「何だまた起きたのかリナ。
 宿はまだだぞ。迷ったから。はっはっは。」
ガウリイ・・・いる。
よかった!
あたしはガウリイの首に手を回す。
よかった!よかった!
「リナ?
 ーーーーーーーリナ!
 止めろ!ぐるじい死ぬぅぅぅぅぅぅ。迷ったのは確かに悪かったぁぁぁぁ!」
ガウリイは・・・あんまり良くないみたいだけれど。
あたしはあわてて手を離す。
とたん、夢とおんなじ不安が心の中に現れる。
「ガウリイ、いっちゃうの?」
自分でもびっくりするほどの甘えた子供のような声。
「へ?どこへ行くんだ俺が??そっそりゃ迷ったが・・・。」
「シルフィールのとこ。」
「なんでそう思うんだ?」
「だって今日言ってたもん。シルフィールにそこそこの魔法剣が見つけられたってい ったら、ガウリイを連れてくって。
 あたしにはガウリイと一緒にいる理由が無いって。」
口が止まらなかった。
「お前、まさかそれでずーーーっと機嫌悪かったのか?」
「っち、ちがうわよ!」
あわてて否定してしまう・・・。
「リナ、上見てみろよ。」
足を止めたガウリイが上を見上げながらあたしに言った。
「上?・・・星が見える。」
「だろ?」
「何いってんのよ!当たり前の事じゃない。」
「そうだろ?だから俺は、夜になると星が出るように、朝になったら日が出るように ごく当たり前にお前のそばにいたんだ。これからだってそうさ。
 いったろ?一生お前の保護者してお前を守ってやるって。」
ふっと、胸の中の悪い物すべてが抜きででく感じがした。
いまのあたしにとっては、最高の言葉だった。
「そう・・・、そうだね。ガウリイ。あたし何考えてたんだろ。
 ずっと。一緒だよね。ガウリイ。」
言って、あたしはまた眠りの世界に落ちた。
やさしい感触を感じて、恐い夢はもう見なかった。
 
THE END
 
あとがき
 
また書きました。
思い付いてから即効で書き上げたんですこれ。しかも学校で・・・。
最初はガウリイサイドだけだったんですけど、やっぱり,
リナもかかなきゃ始まらん!
という事でリナサイド。ガウリイより長くなってしまいました。
シルフィールは、何だかもうよくわからないです。すいません。
 
また、楽しんで読んでいただけたら最高です!
 
        葵

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