『道』



 
 
 
以前と変わらず、二人で道を歩く。
以前と違うところもあるのだけれど・・・。
 
 
「明日もきっといい天気になるわね」
あたしは西の空を見上げてつぶやいた。
「なんでわかるんだ?」
頭の上の方から降ってくるガウリイの声。
「ほら、夕焼けがきれいでしょ?夕焼けがきれいだと、次の日はいい天気になるのよ」
あたしは沈み行く太陽を指さして言う。
「へえぇ〜」
逆光でよくは見えなかったけれど、ガウリイが微笑んだような気がした。
つられてあたしも微笑み返す。
「明日もきっといい日になるな」
ガウリイが言った。
「なんで?」
見上げて問い掛ける。やっぱりガウリイの顔はよく見えないままだけれど。
ガウリイはあたしの頭にその大きな手をおいて、あたしの髪をくしゃくしゃとかき混ぜながら言った。
「おまえさんがいい顔してるからな」
・・・ぼっっ!!!
「あ、もっといい顔になった♪」
ガウリイはにやっと笑って、またあたしの髪をかき混ぜる。
「ガ、ガウリイ・・・!!」
「さ、早く帰ろうぜ?」
まだ顔を赤くしてぷるぷると震えているあたしを尻目に、ガウリイはもう数歩前を歩いている。
「ほら」
差し出されたその手に、素直に手を添えるのは何だかくやしくて、あたしはその横をすり抜けて走り出す。
手を中途半端に出したままきょとんとするガウリイに振り返ってこう言ってやった。
「あたしが先に着いたら夕ご飯はガウリイが作ること!!!」
「何!?ずるいぞ!おまえ!!」
「ハンデよ、ハンデ♪魔法使わないだけ優しいと思いなさいよ」
「使えないんだろうが、今は」
あたしはすぐにガウリイに追いつかれてしまった。
「ったく、おまえさんはもっと体大事にしてくれよな・・・メシぐらい頼まれたら作ってやるから」
「・・・はぁぁい」
あたしは返事をし、そして一呼吸おいてガウリイを見上げて言った。
「じゃ、今日はガウリイが夕ご飯作ってね?」
「はいはい」
言いながらガウリイはまた手を差し出した。
今度はあたしも素直に手を添え、あたしたちは、夕焼けの中また道を歩き出す。
 
 
以前と違うところ、それは。
道の先に帰る家があるということ・・・。
 
 
 
 














 
 
(あとがき)
ただのほのぼの話です。特に山もなく谷もなくオチもなく。
読んで下さった方の心がなーんとなくほんわかしてくれればいいな、と思っています。
んでちょっとにやりとしてくれればなお良し(笑)
拙く短い話ですが、一生懸命書きました。感想などいただければ幸いです。
HPもやってます。よかったらどうぞお越しくださいませ。
”VINTAGE S” http://vintages.fc2web.com/
読んで下さった方々とそーらさんに感謝を込めて。

がー子さん、ありがとうv
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