「告白………? 」


時刻は日付が変る頃。宿の1階の酒場で一人でちびちびやっていたらリナが降りてきた。
そしてそのまま「あたしも飲むー!」っと言って聞かないリナを説得できずにもう数十分過ぎていた。
「あ〜う〜…、もうろめら〜い〜…」
すでにろれつの回っていないリナがとうとうカウンターに突っ伏した。かと思うと、すやすや寝息をたてている。
「あ、おい、リナ!こんなとこで寝るなよ、…リナ!」
「う〜…む〜…。もういらら〜い…」
声をかけつつ、身体を揺すってみるけど一向に起きる気配がない。
「だからまだ早いって言ったのにな…」
ぼやきながら席を立つと横から声をかけられた。
「あら、眠っちゃった娘は放っておいて私と飲みましょうよ〜」
思わず顔をしかめてしまうくらい強烈な香りを纏った女が立っている。…ったく、何でこう次から次に寄って来るんだ…。
「悪いが、今日はもう帰るよ」

部屋まで戻ると、なんだかまだむにゃむにゃ寝言を言っているリナをベッドに降ろす。
「リナ、部屋についたぞ」
横抱きの状態からベッドに降ろしたので、ベッドに片ひざをついて覆い被さっている状態なのだが、オレの首に回されているリナの腕が離れない。
「…リナ、腕を離してくれ。この体勢はちとつらいぞ…」
リナの腕を掴むと、さらにきつくつかまれた。苦しげなリナの顔が間近まで迫る。
「ガウリ…、行かない…で…。…傍に…い…て…」

やばい、理性が吹っ飛びそうだ…。落着け、オレ。

「………ふぅ…」
何とか悪魔の囁きにうち勝ち、軽く深呼吸してから聞こえている事を祈って声をかけた。
「オレはどこにも行かないさ。リナが望むならいつまでだって傍にいてやる。
だから安心して寝るんだ、…リナ…」
そう言って頭をなでてやると、するっと腕が解けてベッドに落ちた。
よかった、伝わったみたいだ…。
オレはそのままベッドに腰をおろし、しばらく寝顔を眺めながらリナの頭をなでていた。

どのくらい経っただろう。部屋の空気が変ったのを感じ、背後に視線をめぐらすといつもの魔族がそこにいた。
「お久しぶりです、ガウリイさん」
「ゼロスか。何の用だ?」
ゼロスはひょいっと肩をすくめるとこう言い放った。
「まったく、ガウリイさんは相手が寝てるとこうも素直に口にしてくれるのに…。
どうしてその言葉を起きてるときに言ってあげられないんですかねぇ」
「っ…大きなお世話だ…。
大体なんでお前さんにそんな事言われなきゃならないんだ?
オレ達の関係がどうであろうとお前さんには関係ないじゃないか」
図星をつかれて少し視線をそらすが、考える間もなく頭に浮んだ疑問が口をついて出た。
するとゼロスは音もなく近づいてきて、指をオレに突きつけた。
「何言っているんですか、関係大ありですよ。ま、これ以上は秘密ですけどね♪」
…意味がわからん。関係があるって事は……ゼロスが望んでいると言うことなのか…?
んで、つまりそれは魔族にとって都合のいい事になるわけで…、う〜ん…、何でだ??
………。
しばらく考え込んでしまったみたいだが、ゼロスは何も言ってこない。…相変わらず読めない奴だ。
「…ゼロス。お前さんが喜ぶとわかっていて、望むようになると思うか?」
そう言ってやると、少し虚をつかれたように表情が固まったが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「そー言われると、そうですねぇ。
でも、そうならなくても構いませんよ。そっちの方がよりいいだけで、大して変りはありませんから♪」
なんか、腹立ってきたぞ…。
「ともかく、こういう事は男であるガウリイさんが頑張んないと」
「何を頑張るって言うんだ」
オレの返答に心底不思議そうな顔をする。
「おや、いつまでも気持ちを隠し切れるとお思いですか?
理性が負けて暴走する前に何とかしないと、傷つくのは彼女ですよ?」

ゼロスの言葉に思わず言葉を失う。
解っていたけど気付かない振りをしていた。彼女を思う気持ちがどんどん膨らんできている事…。
しかしなんだってゼロスは魔族の癖にこんなに人間の心境が解るんだ…。心を読まれているのか?ちらりとゼロスを見ると、相変らずにこにことポーカーフェイス。さっぱりわからん。
「じゃあ、期待していますよ。ガウリイさん♪」
そう言い残すと闇に溶けて行った。オレは一人頭を抱える。
「ゼロスの言いたい事はわかるさ…。
ただ、余計な事を言ってもしリナがオレから離れて行ったら…、オレは…どうにかなっちまう…」

くそっ、ゼロスのせいで頭がこんがらがってきたぞ。
………。

「…少し頭を冷そう。考えすぎて疲れた…」
リナの頭をもうひとなでして、よろりと立ち上がり、そのまま外に出た。
オレはあまりに混乱していて気付かなかったんだ。あの時、リナの寝ている気配がなくなっていた事に。
翌日リナに散々からかわれて大変だったよ。ま、今となっちゃいい思い出さ。
「ちょっと、ガウリイ何してんの?行っちゃうわよ!」
「おわっ、置いて行くなって!迷子になったらどうすんだよ!」
「あはは、知ーらなーい!」
リナが傍にいてくれるから…。






























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しょうもない話がしょうもないオチで終ってしまった…。
まあ、どんな風にからかわれたかは、ご想像にお任せしますv

蔵生さん投稿してくれてありがとう♪
うははははは(笑)リナが起きてることに気づかないなんて、よっぽど混乱したのねガウリイ!

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