♪ガウリナらぶらぶ(?)ストーリーズ♪


 


<プロローグ>

 「ホントにいいのか、リナ?」
 「バカ。何回も言わせないでよ・・・・恥ずかしいでしょ・・・・」
 「ごめん。でも」
 「ガウリイだから」
 「え?」
 「ガウリイだから・・・・いいよ」
 「リナ」
 「で、でも・・・・い、痛くしたら竜破斬(ドラグスレイブ)だからねっ」
 「ああ。大丈夫、俺に任せてくれ、リナ」


 ・・・・その夜は、酷く悶々とした日々の終焉だったのか?・・・・
 ・・・・それとも、より悩み多き日々の始まりだったのか?・・・・



<いち>

 近頃、ガウリイは気が気ではないのだ。
 それというのも・・・・


 「なあ、あんたひとりか? 今夜ヒマないか? 俺が良いとこに案内してやるぜ」
 ガウリイがトイレから戻ると、見知らぬ男がリナに声を掛けていた。
 「生憎と連れがいるわ」
 「あんたみたいな佳い女をひとりで待たせとくような男なんか、ほっとけよ。俺が今夜は楽しませてやるからさ」


 昨日の夕方のこと。
 「なんか、最近多いのよね、変な男」
 おやつのジャンボパフェ(たっぷり5人前)を頬張りながら、リナが首を傾げた。
 「妙にしつこいしさあ。ちかごろのナンパってそーゆーもんなのかな?」
 「さあな。俺は良くわからん」
 言葉少なに応えながら、ガウリイは内心溜息を吐いていた。
 ・・・・こいつ、どうもわかってないらしいな・・・・
 もともと(性格と色気はともかくとして)美少女と言って良いリナのことだから、声を掛けてくる男がいなかったわけではない。
 だが、これまでは、可愛い女の子とちょっとお茶でも、という程度の軽いナンパばかりだったのだ。
 だから、ガウリイも割と平静でいられた。
 ところが。近頃では、男の種類もかけられる言葉も、がらっと変わっていた。
 「今夜ひま?」「俺と一晩楽しもうぜ」「私の屋敷でメイドをする気はないかな? 給料はキミの言い値でかまわんよ」「うちの店で働かないか? あんたならすぐにナンバー1になれるぜ」etc.
 どいつもこいつも、明らかにリナの身体目当ての男達。
 リナはわかっていないようだったが、ガウリイには原因の見当が付いていた。
 ・・・・やっぱり俺のせい、だよな
 これまでは『可愛い女の子』だったリナが『佳い女』になったのは、間違いなくあの夜からのことだった。
 時折、ガウリイでさえはっとするほどの色気を漂わせる。リナがいつも気にしていた胸も、心なしか大きくなったように見える。
 子供っぽい顔立ちも、華奢な体つきも、こうなればかえって妖しい魅力にさえなる。
 これでは、ガウリイが気が気でないのも無理はない。
 ・・・・やっとリナとそーゆー関係になれたのに、こんな悩みが増えるなんてな・・・・


 そして、今夜もまたこの始末である。
 ・・・・やれやれ
 思わず溜息が零れる。
 リナは相手にしていないようだが、男はかなりしつこい。
 「な、いいだろ。俺、巧いぜ」
 男の手がリナの肩に掛かる。
 リナの眉がぴくりと動いた。
 「総ての力の源よ 輝き燃える・・・・」
 ぱしっ。
 ぎゅうぅぅ。
 リナがカオスワーズを詠唱し終えるより早く、リナの背後から伸びた大きな腕が男の手を払いのけ、肩を抱きしめた。
 「ちょっ、ちょっと・・・・」
 背中越しにリナを抱きしめ、リナの頭上から頭を出して、ガウリイが男に微笑みかけた。
 ひと睨みで人を殺せそうな眼光を、極上の笑顔に隠して。
 押さえた声。
 「悪い。こいつ、俺の」
 
 隠しきれない殺気に腰を抜かした男が泣きながら這い去っても、ガウリイはリナを抱きしめていた。
 「ねえ、いつまでこうしてるのよ。もういいでしょっ。別にガウリイが出てこなくても、あんなヤツぶっ飛ばしてたわよっ。あ、それに、だいたい『俺の』ってのは何よ『俺の』ってのはっ! あたしはモノじゃないんだからねっ! ちょっと聞いてるのガウリイ?」
 リナが何か言い募っていたが、ガウリイの耳には入っていなかった。
 男が出ていった戸口を睨みながら、じっと考え込んでいたから。
 ・・・・俺の名札付けとこうかな・・・・



<に>

 心地よい風が吹き抜ける、川縁の木陰で。
 大木を背もたれに座ったガウリイの脚の上で、リナは昼寝の真っ最中だった。
 小さな身体を丸めるようにして、ガウリイの胸にもたれかかる。
 ぎゅっ。
 胸に強く身体を押し当てられて、ガウリイが微かに身じろぎした。
 「ん〜、ガウリイ、動かないでよ。寝られないでしょ、じっとしてて」
 寝ぼけた口調で言いたいことを言うと、ますますもたれかかってくる。

 あの夜から、リナはガウリイに甘えるのを躊躇わないようになった。
 何かとくっつき、よりかかってくる。
 それは、ガウリイにとっても嬉しいことだったが・・・・

 「はいはい。じっとしてるからゆっくり寝ろよ」
 ・・・・やれやれ。
 大きな手でリナの髪を柔らかく撫でながら、思わず零れそうになる溜息を、心の中で噛み殺す。
 ・・・・ホント、つくづく気儘だよな、こいつ。俺が、その、したい時はしらんぷりなのに、自分がくっつきたいときはこーだもんなあ。一昨日もその前も「疲れちゃった」とか言ってさっさと寝ちまうし、昨晩なんか俺がいっしょに風呂に入ろうとしただけでいきなりメガ・・・・なんとか言う攻撃呪文ぶちかましたくせに・・・・

 ぶちぶちと心の中で愚痴を繰り返しながら、けれど大きな手だけはほとんど無意識のまま、胸にかかったリナの髪を柔らかく撫で続けている。
 髪の香とくすぐるような感触に、ふっ、と妄想が頭を掠めた。
 ・・・・このまま髪をひっ掴んで、引っ張り倒してやろうか・・・・外でってのは初めてだよな・・・・

 ひょいっ、と。
 不意に、胸の中でリナが顔を上げた。寝ぼけ眼をガウリイに向ける。
 「ん・・・・ね、どうかした、ガウリイ?」
 「・・・・いや、なんで?」
 思わず掴みかけた髪を、咄嗟に放す。
 「ん〜、なんかね、ガウリイの髪の撫で方がいつもと違うよーな気がしたの。・・・・なんかちょっと怖いみたいな・・・・」
 ・・・・おひおひ。
 「別にどうもしないぞ。いつもといっしょだよ」
 「そお? ま、いいか。もうしばらく寝るから、このまま、ね」
 「・・・はいはい」

 ・・・・やれやれ。
 心の中で、また溜息をひとつ。
 ・・・・気づくか、ふつー、そんなことで? うかつに妄想もできやしないぜ。いや、だいたいこんなに我慢させといて、妄想するなって方が無理だよな。
うん、そうだよ。よーし、今は我慢してやるけど、今夜こそは絶対我慢しないぞ。手加減なしの本気でやってやる。泣いたって気を失ったって勘弁してやらないんだからなっ。
 
 相変わらずリナの髪を撫で続けながら、心中でひとり燃え上がるガウリイ。
 その瞳にはもはや『今夜のリナ』しか写っておらず、胸にもたれて眠っている筈のリナがたった今ぺろりと舌を出したことなど、気づこうはずもなかった。
 

 ・・・・ガウリイってば、もう限界みたいね・・・・ふふ、今夜が楽しみ♪
 



*あとがき*
ど〜も。りょー です。
一応、作品の解説(っつーか言い訳?)なぞさせていただこうかと・・・・
狙いとしては、『それがゴールじゃないんだよ、ガウリイ君』とゆーコンセプトなんですが(笑)。
そこに至るもどかしさもラブコメなら、そこから始まる悩ましさ(?)もまたラブコメかなと(笑)。
で、結果として、年齢制限ぎりぎりなシロモノになってしまいました(汗)。
       (↑抗議・避難はそーらさまではなく、りょーにお願いします。)
では、失礼しました。



(コメント;オトナな壁紙にしよ〜かと思ったんですが・・・このほ〜がキョーアクかなっと・笑)
 



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