「やだ、冗談だってぱぁ。」
あたしの一言が気に障ったのか、めずらしくガウリイがむすっとしてる。
まあ、本当にあたしが悪いのだけど・・・・・
ぶすっとふくれっ面で黙々と先を歩いていく。
「もう・・・・そんなにふくれないでよ・・・・」
後ろをとぼとぼとガウリイの背中を見ながらついていく。
こんなの嫌だ。
こんなつもりじゃなかった。
いつもみたいにおどけて笑って欲しいのに。
いつも笑顔が見たいのに。
いつもそばにいて欲しいのに。
______『大好き』______
ただそのひとことも 口に出せないの。
たったひとことなのに。
心の中ではいくらでも言葉が出て来るのに。
言いたいのに、伝えたいのに。
わかっている。
困らせてるよね、あたし。
でも、声にはだせなくて。
「・・・・・ごめんね・・・・・・・」
うつむいてつぶやくだけ。
「まったく・・・・しょうがないな。」
顔をあげるとあのいつもの笑顔。
ぽんっと頭の上に手をおいて、クシュッと髪をなでる。
ほら、もう魔法をかけられた。
あなただけが、私にかれられる魔法。
また言い出せなくなっちゃった。
でも、本当はどんな言葉もみんなウソなのかもしれない。
このあふれ出しそうな気持ちは真実だから。
だから、言葉の変わりに精一杯の笑顔で答えた。
いつか、この心のかごを壊して
いつか、世界がふるえるほどに伝えるから。
だから今はこのままでいいかな・・・・・・ガウリイ。
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