「正直なヒトたち」
与作は木を切る〜〜〜♪

『アメリアの場合』

ある日のこと。
アメリアがゼルガディスと池の周りと散歩していた時だ。
つるりと足を滑らせて、ゼルが池に落ちた。

「ああっ!ゼルガディスさん!どうしましょう〜〜〜〜」

慌てるアメリアの前に、池の妖精が現れた。
「どうしました。」
「あ。妖精さん。実はかくかくしかじかで。」
この状況を何とも思わんのかアメリア。
「わかりました。」

妖精はそう言うと再び池に沈み、両手に何やら抱えてきた。
「あなたが落としたのはこの人ですか?それともこの人ですか?」
見ると右手には金のゼルガディス、左手には銀のゼルガディス。
「どっちもわたしのゼルガディスさんじゃありません。」
「そうですか。では。」

再び沈んだ妖精が現れた時、両手にまた何かを抱えていた。

「では、このどちらかですか?」
「う。」

アメリアは悩んだ。
右手にはいつもの合成人間ゼルガディス。
左手には、人間に戻ったゼルガディス。

「さあ。どちらです。」
「う〜〜〜〜〜〜〜んん。」
アメリアは腕を組み必死に考える。
「どうしましょう。ゼルガディスさんはやっぱり、いつものゼルガディスさんがいいと思います。でもでも、ゼルガディスさんはいつも人間の姿に戻りたがっていました。ここは元に戻ったゼルガディスさんを選んであげるべきなんじゃあ。だがしかし、それはやっぱり正義じゃないですううううう。」
「さあさあ。」
「わたしはどちらも選べませんんん。」
「それでは返してあげません。」

妖精は結構薄情なヤツだった。

本物のゼルガディスはぶくぶくとまた池に沈んでいき、結局自分で池の底を這って上がるしかなかったのだった。






『ガウリイの場合』

ある日、ガウリイが骨付き肉を食べながら池の周りを歩いていた。
つるりと手が滑り、お肉が池に落ちてしまった。
「ああ〜〜、オレの肉〜〜。」
すると池の中から妖精が現れた。

「あなたが落としたのはこちらですか。それともこちら?」

右手に金のお肉。左手に銀のお肉。

ガウリイは半ベソをかく。
「それじゃあ食えないじゃないか。」
「では、これですか。」
見るとガウリイの歯形がついた、元のお肉。
「ああっ、これこれ♪ありがとう妖精さん♪」
妖精はにっこりと笑う。
「あなたはなんて正直者なんでしょう。ご褒美にこれを差し上げます。」

見るとご褒美は、ばたばた暴れているリナだった。

「なんなのよ、なんなのよ!ここはどこ!?あんた誰!?」
ガウリイはお肉とリナを妖精から受け取ると、幸せそうに叫んだ。
「ああっ。人生って素晴らしい。」







『ゼロスの場合』

ある日、ゼロスが池の周りをうろうろしていた。
すると池の中から妖精が現れて言った。

「どうしました。何か落としましたか。」
「いえ。この池に妖精が住むと聞いてきたんですが、ウワサは本当でしたね。」
「何か落としたんですか。」
「いいえ。別に。」
「何かなくしたんですか。」
「いいえ。別に。」
「では、何故来たんです。」
ゼロスは笑みを浮かべたまま、妖精を指差す。

「落としたものを単に拾うだけではなく、あれこれ落とし主の心を惑わし試すような性格の悪さ。しかも相手の心を読んで何に一番迷うか考える当たり、姑息で陰険です。」

妖精の顔色が変わる。
「文句を言いに来たんですか?」

「いいえええ。ホメに来たんです。あなたは何ていい人なんでしょう♪魔族の僕も、敬意を表します。これからもどんどんやっちゃって下さい。応援しますから♪」

そう言うと、虚空に消え失せる神官。

妖精は呆然と池に戻るのだった。





『リナの場合』

ある日、リナがガウリイを池の前まで引きずってきた。
「ほんっとーーに、金のお肉と銀のお肉を出したのね?」
「ああ。ホントだって。お前試してみるつもりか?でも肉ないぞ」
「そおんなに小さなもの替えてもらわなくたって、もっと大きいものあるじゃなあい♪」
「へ?大きいものって・・・・うわああああああ!

リナはガウリイを池に突き飛ばす。
「がんばってねえ♪ガウリイちゃあ〜〜〜〜〜〜ん♪」
血も涙もないんか、お前は。

すると妖精が池の中から現れた。

「あなたが落としたのはこちらですか。それともこれ?」
「来た来たあ♪・・・・・て、え?」

見ると妖精の右手には金ピカのガウリイ、
左手には銀ピカのガウリイがいた。

「どちらですか?」
「あのねえ!あんた人をバカにしてんの!これじゃメッキだってバレバレじゃない!!」
「あら。そうですか?では。」

再び池に潜る妖精。
戻ってきたその手には、三人のガウリイ。
妖精が手を放すと、わらわらとリナに駆け寄る三人のうちの二人。

「リナ」
「リナ」

おもむろにリナを引き倒すガウリイ。
頭にはひまわりが生えている。
「リナ。」

「それは鬼畜なガウリイさんです。」
「ひいいいいいい。」
「ああ〜〜〜〜〜〜落ち着くうううううう。」
「それはクラゲガウリイさんです。」
足がたくさん。
「いやあああああ。」
うにょうにょ。

「リナ、お前がやったことなんだからな。」
妖精のそばで腕を組み、呆れているガウリイ。
「これは普通のガウリイさんです。さあ、どれにします?」
「あ、あ、あ、あたしが悪かったわよ!ふつーでいい、ふつーーで!だから早く何とかしてえええええ。」

ほとんど悲鳴だ。
ガウリイが妖精を振り返る。

「面白いからしばらく見てようか。」
「はい♪そうですねえ♪いいもん見させてもらいました♪」














おあとがよろしいようで。(ダッシュ!!


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