「たまご愛す??」な〜んだ?


「ゼルガディスさん。」
とてとてとアメリアが駆けてくる。
何かを両手に抱え、落としそうになっては危ういバランスで、持ち直す。
「何やってるんだ。転ぶぞ。」
言ってるはしからつんのめる。
ちょうどさしのべた腕に飛び込んで来る。
「良かったあ。落としちゃうかと思いました。」
柔らかい身体、甘い香り、冷たい胸??
「アメリア、何持ってるんだ?」
「たまごあいすです。」
「たまごあいす??」
はいと差し出すそれは、手のひらの上にのるほどの風船に
冷たいアイスを詰めたもの。
「さっきそこで買ったんです。ゼルガディスさんと食べようと思って。」
「俺にこれを喰えと言うのか?」
「お嫌いでした?」
「俺は甘いものは..」
「そうでしたね..。
 私こういうの見たの初めてだったんでなんか嬉しくて。
 すいません。」
しゅんとうつむいてしまう。しょうがないな。
「食べないとはいってない。」
「ほんとに?」
「ああ。」
「よかったあ。」
嬉しそうに差し出してくる。
そういえば、ガキの頃食べたな。
「おい、アメリア、何をしてるんだ。」
「なにをってたまごあいす食べようと思って..」
「その輪ゴムを外すんじゃない。中味がみんな飛び出すぞ。」
「え、あ、きゃ。」
少し遅かった。アメリアのたまごあいすは地面の上に中味をさらけ出してしまった。
「あ〜私のたまごあいすが..」
「しょうがないな、ほら。」
「これはゼルガディスさんの分です。」
「いいから食え。」
「でも、..」
「遠慮せんでもいい。」
「いえ、食べ方がわかりません。」
ナイフで先のとがったところを少し切ってやる。
「ほらここから、吸うんだ。」
「こうですかあ。」
ちゅうちゅう。
「あ、冷たくておいしい。」
無心に吸い付いている。
「お前って本当に姫なんだな。」
「っほへ?」
「たまごあいすなんて大抵ガキの頃喰ってるぞ。」
「ほうなんですか?」
「喰いながらしゃべるな。」
「ふあい。」
ちゅうちゅう。
「あの。」
「喰い終わってからにしろ。」
「半分いりませんか?」
「全部食え。」
ちゅうちゅう。
「ごちそうさまでした。」
「ああ。」
「でも、私ばっかりでゼルガディスさんに悪いです。」
「気にすることはない。元々甘いものは苦手だ。」
「でも」
「じゃあ、俺の食える甘いものをくれるか?」
「ええ??..!!」
そっと引きよせ、俺は冷たくて甘いものをゆっくりと味わった。
 











(終わり)