たき火アメリアさいど♪


とうさんの声がする。誰かと話してる。
ここ2,3日、何故だかぐっすり眠れたのに今日は何だか
寝つけない。変だなあ。でもわたしは眠ったふりを続けた。
 
夕方、お水を汲みに行って帰ってきたらリナさんがガウリイさんの
ひざの上で寝てた。
「おお、リナ殿は眠ってしまったのか。」とうさんも戻ってきた。
「いや、こいつ2,3日ろくに寝てなかったみたいだから。」
照れるふうでもなくガウリイさんが笑って答えた。
そう一言言うと、説明はすんだとばかりにとうさんから薪を受け取る。

・・・この二人、どんな二人なんだろう。

最初、二人は恋人同士だと思った。
そうリナさんに言ったら、スリッパで頭をはたかれた。
返す勢いで会話に加わろうとしたガウリイさんまではたいてた。
普通の恋人同士って、スリッパで頭をはたいたたり、くびねっこつかんでどつき回したりするんだろうか。
それとも、照れ隠しかなあ。
わたしは今まで、恋人同士って、もっとベタベタするものだと思ってた。
腕を組んで散歩したり、ひとつのジュースをふたつのストローで飲んだりとお互いのことしか目に入らなくて、ふたりの世界を作っちゃうんだと思ってた。

・・・リナさんたちは違うのかな?
それとも、リナさんがいうようにただのくされ縁?
ガウリイさんが言うように、保護者と被保護者の関係?
 


そのとき、とうさんと話しているのはガウリイさんだと気付いた。
でも何だか、いつもと様子が違うみたい。
言葉のなかに、「あれ?」とか、「何だっけ。」とかいつものボケが入ってない。
 

「オレは人殺しが好きじゃない。好き嫌いで生きてちゃいけない気もするが、こいつのためにも好きでいちゃいけないんだ。」
 

わたしは薄目をあけて見た。
たき火の向こう側にリナさんの髪を撫でるガウリイさんがいた。
まるで、自分のもののように。
とうさんもいるのに、リナさんしか目に入っていないように。
何度も、何度も。

とうさんもわたしの頭を撫でるときがあるけど、やっぱりそれとは違うんだろうなぁ。
そんなことを考えてもう一度二人に薄目を向けると、ガウリイさんのひざで寝ていたリナさんの寝顔にうっすらと、とてもうっすらと微笑が広がるのがまるでスローモーションのようにうつった。

もしかして、リナさん・・・起きてる?でもスリッパを取り出す気配もない。
きっと昼間のリナさんなら、とっくにそうしていただろうに。
・・・その瞬間、わたしにはなんとなく二人がわかった気がした。

二人は恋人同士ではない。
でもそれは、わたしが考えた恋人同士じゃない、という意味。
これからそうなるのかもしれないけど。
ただ、二人がお互いしか目に入らない時もあるんだ、と。
二人にとって、相手がかけがえのない人なんだ、と。
 
わたしにもいつか、あんな風に頭を撫でてくれる人ができるんだろうか。
とうさんでなしに。
ガウリイさんにとってのリナさんのように。
リナさんにとってのガウリイさんのように。
それはどんな人だろうか。
どこに行ったら会えるんだろうか。
会ったらすぐわかるだろうか。
わたしのこと、見てくれるんだろうか。
たぶん、でもきっと。
 
まだ見ぬそんな人のことを考えながら、いつしかわたしは幸せな眠りに入っていった。
 































==========END 

大丈夫、いつか現れるよ♪とアメリアに言いたくなってもらえたら嬉しいなっと♪


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