「きゃーーーーっ!きゃーーーっ!きゃーーーーっ!!」
真っ赤になって錯乱した様子のリナが、床に敷かれた黄色いカーペットの上で跳ねていた。
「リナっ!一体どうしたって言うんだ・・・うっ!」
部屋に飛び込んだゼルガディスが硬直した。
床に敷かれているのはカーペットでも何でもなく、長々と伸びたガウリイの体だった。
「リナさんっ!落ち着いてっ!何があったんですかっ!?」
目を回したガウリイの上でさらに飛び跳ねるリナを、アメリアがどうどうとなだめる。
「だって、ガウリイがっ、ガウリイがっ!」
「ガウリイさんならとっくにノビちゃってますよ。とにかく一旦そこから降りて下さいってば。」
「・・・・・。」
ゼルガディス、鞘の先でガウリイをつんつんとつついてみる。
「どうやら完全にノビているようだぞ。」
んなこと確認してど〜するよ、ゼル(笑)
「だ・・・・だってガウリイが・・・・」
事情を尋ねようとしたアメリアに、リナが口籠る。
「ガウリイさんが、リナさんに何かしたんですか?」
他に起こされてしまった泊まり客に、必死に言い訳をして回った後。
アメリアはゼルガディスと共にリナを部屋へ連れ戻した。
ガウリイはまだ自分の部屋でノビたままである。
「ガウリイが・・・」
まだ顔を赤くしているリナ。
後を引き取ってゼルガディスが続ける。
「ずばり。夜ばいに来たか。」
「ゼっ!!!」
リナ、絶句。
「ゼルガディスさんっ!」
アメリア、ため息。
「もっとこう、ストレートでなく他に言い回しがあるでしょう。」
「ほう。例えば?」
「例えば・・・・・・・・・・・・・・。」
アオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン。
ワンワン。
「・・・・例えば?」
「い、いえその・・・・・。ス、ストレートにきくのもまたいいもんですよね・・・・。」
「アメリア〜〜〜〜ι」
リナ、ジト目。
「で、ガウリイさんが、ホントに夜ばいに来たんですか?」
「あ・・・・・あんたね・・・。仮にも巫女なんだから、そゆ用語さらりと使っていい訳・・・・?」
「真実はひとつです、リナさん!」
「バカやってないで。夜中に騒いだ理由を聞かせろと言ってるんだ。」
とうとうゼルの仕切が入った。
「ガ・・・・ガウリイがね・・・・。へ、変なのよ・・・。」
真っ赤になったまま、蚊の鳴くような声でリナがぼしょぼしょと言った。
「変って・・・・。どういう風にですか?」
「き、急に、あたしをその、だ、抱き寄せたりとかして・・・・」
ゼルガディスが大きなため息をつく。
「リナ。それはノロケか。ならば俺は寝かせてもらうぞ。」
「誰がノロケてるかっ!!そーじゃなくってえっ!」
「リナさん・・・・・」
リナの肩に手をぽん、と置いたアメリア。
顔はマジだったが、目が嬉しそうに輝いていた。
「わかります・・・。昨日まで普通の友だちだったのが、今日突然に愛を告白してきたら、誰だってとまどいますよね?
でもそれは、相手もずっと秘めて来た本当の気持ちですし、ここはひとつ、真剣に考えてあげた方が・・」
「誰がトモダチよっ、誰がっっ!!誰が愛を告白したですってええっ!?」
リナがガタン、と席を立つ。
「あ、あ、あ、あんた達、少しは驚きなさいよねっ!?あのガウリイが、あたしをそゆ風に見ると思うのっ!?」
「・・・・・別に・・・驚きませんが・・・・。」
きょとん、としたアメリア。
「むしろ、ようやく話が進展してきたって感じですよ。
ね〜〜〜?ゼルガディスさん。」
「俺に振られても・・・・ι
・・・まあ、今さら俺も不思議には思わんが・・・・。」
「なっ、なっ、なっ・・・・」
二の句がなかなか告げられないリナ。
「あ、あんた達っ、相手が誰だかわかってんのっ!?あのガウリイよっ!?」
「わかってますよ、さっきリナさんのお尻の下でノビてたのが誰かくらいは。」
「あ、あのガウリイがっ、こ、事もあろうにっ!」
「だから、例えリナさんを襲ったって、そんなに驚きませんってば。」
「そ〜じゃなくってええっ!!
は、歯の浮くよ〜なセリフを言いまくってたんだからっ!」
「そりゃあ、いくらガウリイのダンナだって、口説き文句の一つも言うだろう。」
「ちっがああああうううっ!!」
きいぃいいいいいいい・・・・
リナが絶叫した後だ。
ドアの蝶番が不気味な音を立てた。
ゆっくりと、リナの部屋のドアが開く。
「リナ・・・・・。」
廊下に立っていたのは、さっきノビていたはずのガウリイだった。
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