「はにぃ・でいず」
〜いつもよりちょっぴし鬼畜かも??〜2ページ目♪

「もっとイチャついて見せて、人気が無いのをいいことにしのんできた恋人たちっていうのをアピールして見るってのはどうだ?」
「うーん。イチャイチャねえ…たとえば?」
少なくとも自分よりもそういったことに経験のありそうなガウリイにリナがひょいと尋ねた。しかし、ガウリイの方は瞳を軽くふせて笑うとその無邪気とも無防備ともとれるリナの質問に行動で答えた。
向き合ったガウリイが体を屈めリナの頭上に影を落とす。驚き、見上げるように顔をあげたリナのその唇に軽くガウリイは自分のそれを重ねた。さらに首筋へとそのまま下がり驚き立ちすくんだリナの体に唇でふれていく。しばらく呆然となすがままになっていたリナだったがガウリイの行動の意図を捉えるとその金の髪を引っ張った。
「ガウリイっ!…………イチャついてみせるにしても、あの…もう少し別の…抱きしめるとかそういう」
 言ってる間にもリナの顔はガウリイの視線に射すくめられて朱に染まっていく。ガウリイがその様子をみて鼻で笑った。
「――――――― ガキ」
 その言葉…声色にリナはガウリイの髪から手をはなして開き直った。リナのその意地っ張りぶりに笑いながら、ガウリイがやめていた動作を再開した。リナはゆっくりと深呼吸をしようと努力をする。ガウリイが手加減しているというのは十分に解かっているのだ。最初のキスもその後のそれも軽くふれるという程度のもので今も決してそこより下、胸などには触れてはいない。しかし、いつまでも同じ事を繰り返しているわけにもいかないのか徐々にかけてくるガウリイの体重にリナの体は後ろの女神像に押し付けられてきていた。落ち着けとは思うのだが、リナの足から次第に力が抜けてきて、やがて、ついガウリイの手首を掴んでいた指先に力が入ってしまった。ガウリイがそれに顔を上げた。とじていた瞳をゆっくりと開く。リナの前にある顔は見たことのない表情の男。その男は唇の両端をキュッと横へひきリナへ笑って見せた。その笑顔もいつものものとは全く違うのだがリナは笑ってくれたという事実にホッとその名前を呼ぼうとした。
「ガウ…っ」
 はじめて、リナがあばれて抵抗をしめした。気の緩んだところを狙ったかのようにガウリイがそれまでとはうってかわってふれるだけだったそこへ舌を這わせた。その抵抗を予想してたかのようにガウリイはぴたりとおさえてそれを許さない。
「ガウリイ……やっ」
 スカートの裾をリナが必死におさえる。その唇には先ほどのものとは比べ物にならないような長い深い、激しい接吻。―――― 呼吸が苦しい。リナがなんとかガウリイを引き離そうと努力するがほとんど効果が無い。
 取り込み中の2人の周りをざっと囲む人の気配が生じた。
「そこまでにしな、にーちゃん」
 ガラガラ声の怒声が響いてガウリイがリナから少し体を離した。その隙間からリナが突き飛ばすようにして飛び出した。
「待ちかねたわよ、あんたたち!!」
しかし思いっきりその大きな瞳に涙を溜めこんで、潤んだそれで睨んでみせても当然迫力は全く無い。
 リナはその盗賊たちに心底からの感謝の気持ちでいっぱいだった。出来ればもう少しはやく襲って欲しかったぐらいである。せめてこのお礼に苦しまないようにやっつけてあげよう。リナが独り、心に誓った。
「俺達を待ってたって……お嬢ちゃんが?」
 そう言うとまるでそうするのが決まってたかのように一斉に笑い出した。
「まさか、俺達を捕らえようなんて言う気じゃないだろうな。―――― まあ、いい。おら、お前たち男をやっちまいな。女は剥いちまえ」
 下品な奴等。しかし、リナに反論する暇はなかった。その号令を合図に男達がリナへむけて飛び掛かってきたからだ。ちょっとおお!半分はガウリイに行ってよ!!その勢いに押されてリナは一旦、退去しようとぐるりと向きを変えた。ところが一歩足を前にだそうとしてリナは思いっきりすっこけた。
「きゃあああ」
上にのしかかられる衝撃と恐怖にリナが悲鳴をあげた。
 ―――― ガウリイのせいだ。ガウリイがあんな…。リナの心の中が八つ当たりぎみの怒りであふれた。土塊の上を男に抱きつかれたまま二転三転しながら唇の中で呪文を唱えはじめる。髭に覆われた男の手がそのリナの服を引き裂いた。
 ――― このっ!!
リナが完成した呪文を発動させようとした―――瞬間。体にかかっていたその男の重圧が消え去った。リナが慌てて体を起こすとその男が蹴り上げられた脇腹をおさえてうずくまっていて、さらにそれをガウリイが掴み上げ殴りかかろうとしていた。周りを見渡せばやはりガウリイにやられたのだろう、すでに動くものはなく何人かの男達の倒れている姿がそこにあるばかりだった。
「ガウリイ、もうその辺にしといて。それ以上殴ったら、協会に突き出す前に息の根がとまっちゃうわ」
 リナが案外簡単にそれも一気に片付いたことに軽く笑って言った。しかし、返ってきたガウリイの声は予想外に重く暗いものだった。
「こいつ一人ぐらい死んでもいいだろ。その辺に転がっている他の奴等を連れて行けば依頼人達も納得するだろうし」
 リナが自分の耳を疑う。
 ガウリイの手が虫の息の男の襟首へ伸び、ぐいと持ち上げる。
「――― !!ガウリイ、だめ」
 リナの声が響いた。
「ガウリイっ、足痛い!。あたし、足痛い!!!」
 言いながらリナは破られた胸元をかきあわせガウリイがこちらを振り返るのを待った。
「ねえ、痛いってば。ガウリイ、おんぶ!」
――― 少しの間をあけてガウリイがゆっくりとそれを捨ててリナの元へ駆け寄った。リナがほっと息を吐く。
「大丈夫か?」
「見ての通りピンピン」
 思わずそう答えるリナにガウリイが苦い表情をうかべた。見ての通りというならリナは満身創痍で大丈夫どころではない。破られた胸元も擦り傷だらけの四肢も、乱れた髪も、痛々しい。その手をガウリイがとった。
「大丈夫よ」
リナがもう一度ガウリイへ言った。
「足、痛いんだろ?」
「――― うん、少しひねったみたい」
 実はひねった足よりも腰が抜けてることのほうが大きな問題のような気もするがそれは言わないでおく。ガウリイがそっとリナを抱き上げて…くすりと笑った。
「なによお」
リナが唇を尖らせた。
「いや。けっこう面白かったなあと思って…恋人の役も」
突拍子もないその台詞にリナが顔を赤くしてガウリイをぽかぽか叩いた。が、ガウリイはくっくと笑いつづけてさらに、
「その格好もなかなか色っぽいし」
 言いながらリナとその胸元に視線を落とした。
「見るなあ、くらげー!!」
 リナが恥ずかしさに涙で瞳を潤ませながらガウリイの横っ面を叩く。いや、叩こうとしてとめられた。
「まさかさっきみたいな可愛い悲鳴まで聞けると思わなかったしな」
 ガウリイが前を向きながらかうような口調で言った。リナはガウリイの視線が自分から外れたことにホッと息をついてつい本音をもらした。
「…しかたないでしょ、いきなりだったし……恐かったんだから」
これは多分ガウリイが自分をみつめていたら言えなかった弱音。ガウリイが外していた視線をもとへ、リナへと返した。ドキリとして身をよじるがもとよりガウリイの腕の中で逃げる場所などなかった。ガウリイがリナの肩先に顔をうずめそっと唇をあてた。その行動にリナが慌てる。
「ごめん」
「は?」
 ばたつかせていた手足をとめる。なんでガウリイが謝ったのかわからない。
「守ってやれなくて」
 …それでそんな表情してるわけ?
「ちょっとお。他の人が聞いてたら誤解するじゃない、なんかされたのかって。ちゃんと助けてくれたでしょ、ガウリイ」
真っ赤な顔で抗議するリナにガウリイが泣きそうな表情を向けた。
「もおっ。なにぐずぐずしてんのよ。早くマクガイアのおっちゃんに報告してたんまり報酬金もらいにいくわよ!!」
リナにどやされてガウリイは微笑をうかべるとようやく歩き出した。まったくこのクラゲはいちいち指示しないとなんにもできないんだから。リナが動揺を隠すため内心で悪態をついた。が、やがて規則正しいガウリイの鼓動を子守歌にリナはその腕の中で寝息をたてはじめた。
 白い建物と花の香りのなかをガウリイがそっと少しだけ力をこめてリナを抱きしめた。


<おわし>


後書き:
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ここまで読んで、いただけましてありがとうございます♪ちょっと長い後書きになるのでお暇な方だけお読み下さいね。
前書きにも書きましたが今回のこれは人に頼まれたのをきっかけに書き始めたものです。そして、この話の大筋はそのリクエストされた方の持っていたアイディアを元に書いたものであることを追記しておきます。
そのアイディアというのは、
1)まず・・・ガウリィとフィリア(以下ガウ・フィリ)が何らかの理由で(仕事など・・適当に考えてください)デートをする。
2)その二人は終始その理由を忘れて楽しんでいる
3)そこへ敵が現れる・・・
4)フィリが傷つれられそれにガウが怒りいつもとは比べ物にならない力で敵を全滅させるというかなり具体的なものでした。一応全ての希望をクリアさせたつもりですけど、どうでしょうか?そういうわけでこの『はにぃ・でいず』を書きあげるにあたりつなみはその方に心から感謝いたします♪
 
ちなみに・・・おいでるかどうかわかりませんが、「ガウフィリバージョン」、お読みになりたい方、おいでましたらつなみまでメールください(リクエストされてきた方の年齢を考慮してこの「ガウリナバージョン」に比べるとかなり抑えたものになってますけど
(^^;))。
 
であ、本当にここまで読んでいただきましてありがとうございました♪
 
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