「ぷれぜんと☆すきゃんだる? 」




「なんなの?!あんた誰?どーしてあたしとおんなし顔おんなし格好?なんでここにいるわけ?一体どっから降って湧いてきたの?!さっきの光となんか関連あるの?!教えなさいっ、しゃべりなさい!」

パニックを起こしたあたしはにぎゃーにぎゃー叫びまくり、そのそっくりさんを締め上げ・・・

訂正。

叫びまくったあたしは隣近所から近所メーワクうるさい寝られんっとかなんとか怒られたため、しばらくガウリイの手により気絶させられた。

今は締め上げの真っ最中。

でも今しがた意識が戻ったんだからね!

覚えておれガウリイ・・・

「う、うう・・・」

「リナ・・・そのくらいで勘弁してやれよ・・・」

「うぐ・・・」

ガウリイになだめられ、口をつぐんだあたし。

そのかわり、あたしはそのそっくりさん?の顔をまじまじと覗きこむ。

「・・・うーみゅ・・・」

「な、なんでしょうか・・・・」

「この顔の形、瞳、髪、あたしそのもの・・・完璧な美少女ね、あたしって」

「何自分のこと自画自賛してんだ・・・そっくりさん。気にしないでやってくれ・・・」

「はい・・・」

ちょーーっと待った!

本当のこといって何が悪いっ!

ふ、ふんだ!

とか、いぢけちゃってる場合じゃないし!

「と・に・か・く・あなたの身元から教えていただきましょーか?」

「・・・・・・〈さああああああぁっ〉

かるーくぱきぽき指を鳴らしたあたしになぜか蒼くなったそっくりさん。

さあぁーーーて、と・・・

――――――――――――――――――

「へええーこりゃまったくもって『リナ』だな。俺はリナの過去のことはよく知らんが、お前さんがそうだというならそうだろうし」

「まあ、そんなとこかしら」

「・・・・・・・・・・」

あたしに質問攻めにされた上、こづきまわされ、身体検査までされた『リナ』はもはや無言だった。

・・・無茶だとか。

・・・痴漢女だとか。

・・・ボージャクブジンだとかなんか言うなけれ。

これは!

オリジナルとしての義務かつ権利に基づいて果たしただけのことでありさしたる問題はないはず!

これは人権問題に関わることなんだからねっ!

「あんたが変なことしてあたしに火の粉が降りかかってくるのはごめんなだし、人権問題でしょこれ!」

「・・・あの・・・私の人権は・・・」

「そんなものない。」

「・・・・・・・」

再び、無言の『リナ』

――――やましくなんか、ないもん。

「ま・・・性格以外に違うとこといえば、こっちの『リナ』のほうがちょっと胸が大きいとこぐらいか?」

どげし

問答無要で張り倒されるガウリイ。

こーゆーシチュエーションで言ってはならないことをさらりと言ってのけたのだからまあしかたがない。

あたしの足の下でなにやらぶつぶつ言っているがまぁ省略。

―――いつものことであるからして。

「ガウリイさん、大丈夫ですか・・・?」

「ああ・・・」

助け起こされるガウリイを横目で見つつ、あたしは胸のざわめきに心を落ち着かせなくしていた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

草木も眠る丑三つ時。

宿に一つ、小さな明かりが灯った。

「−♪♪ー♪ー♪♪♪ーー」

鼻歌まじりでごそごそリュックをあさるあたし。

寝巻きを探していたのではない。

すでに服装はいつもの魔導士ルック。

さあぁーて・・・

「あの・・・リナさん・・・」

「なぁに?そっくりさん」

「その呼び名はやめてください・・・」

「じゃあどーすりゃいーのよ。」

「・・・考えますがそれよりっ!」

だんっと机に手をつくそっくりさん。

「どこ行くつもりなんですか?!」

「盗賊いぢめ」

「・・・・・・・・・」


迷わず即答。

んっふっふっふ・・・

そぉーーーよっ!

ここ最近あたしの自称保護者の目がちょっとばかし厳しくなったり、おんなし部屋になったせいでまともに脱出に成功したことがないっ!

しかしっ

今夜はガウリイは『俺今日疲れたから早く寝る・・・』とかなんとかいってお隣の客室へ移動!

あたしは自由の身なのだぁー♪

まぁ、それ以外にも、いろいろとイライラいてたってこともあるんだけどー・・・

ガウリイのことだし♪あたしが二人いること忘れて部屋にいるそっくりさんの気配だけで安心してくれるかもしんないし♪

・・・かもしんないし。

まあそれはいーとしてっ!

ショルダーガードよし!ナイフよし!マントよし!防寒具よおおおぉしっ!

完!全!武!装!

んっふっふっふっふ・・・・

含み笑いが止まらん!

「れっつらごぉー!」

とか言って窓枠に手をかけたその瞬間―――――

「フリーズ・アロー!」

ばしゃっ かっきいいいいいぃん

「のぁああああああっ!」

とっさに横によけたからよかったものをいきなりの至近距離かつ背後攻撃!

不意打ちとわ卑怯なああああっ!

振り向いた先には、蒼い弓をたずさえ、こちらに向かって狙いを定める『リナ』!

「いくら『私』でもガウリイさんのお止めになったことを見過ごすわけにはいきません!」

「あ、あんた魔法つかえんの?!」

「もちろんです」

わ、忘れてた・・・

性格が多少、いやかなり違っててもやっぱりあたし。

魔法のキャパシティなんかは変わらないはず。

あう、そーなると・・

「ファイアー・・・」

げ、ファイアーボール?!

んなもんこんなとこで発動させたら黒コゲどころかこの宿全焼よぉっ!

「−ボール!」

「ふ、フリーズ・アロー!」

慌てて対になる打ち消しの呪文を唱える。

きぃぃぃんっ

二つの呪文がぶつかり合い、消滅する。

「まだまだっ!絶対に行かせませんからねっ!」

「ちょ、そこまでしbtymn・・・!」

――――――――――――

「・・・派手にやってくれたなぁお前さん達」

「・・・」

「・・・」

・・・反論のしようがない。

部屋の床やら壁はコゲてたり凍ってたり。

とにかくひどいのだ。

「どーやら見境なしに呪文ブッとばすとこはそのまんまだな」

「いえ、リナさんのほうが激しかったと思います」

・・・いったい、どこをどう見て言ってんだコイツ。

「ったく・・・ベッドがコゲてちゃ寝れんだろうからな。とりあえず今夜は俺の部屋に来い」

「・・・うん」

「・・・・・・・・・」

そう言われて『リナ』はなぜか無言だった。

三人で黙ってガウリイの部屋に向かった。

「なぁ、リナ」

「何?」

「はい?」

「いや、こっちのリナに言ったんだが・・・これやりにくくないか?」

ちなみに今呼ばれたのはあたしぢゃないほうの『リナ』。

んーと・・・まぁ・・・

「確かにやりにくいわよね・・・」

そう言われてコクコクうなずく『リナ』

『あんたが原因でしょーがっ!』とツッコミたいのをがまんして、

「じゃぁこんなのどぉ?あたしがリナ1号、あんたが2号。呼びやすいし。」

「おぉそれいいな。」

「ひどい!なぜ私が2号?!」

「んーだってねぇ・・・」

なんとなく、とわ言えず返答に困ったあたし。

チラリ、とガウリイのほうに目をやった。

―――絶っ対何にも考えとらんだろーなこの男は。

「そーいやー・・・」

頭をかきながら思い出したように言うガウリイ。

お、考えてたのか?

「前にこれと同じようなことがあって大変なメにあった気が・・・」

すっぱああああぁっん

リナ1号+リナ2号のダブルスリッパ攻撃!

しかも1人2個スリッパもっとるし!

あたしはスリッパを落とし、ズッコケる。

「が・・・ガウリイ、あんた本当に覚えてないの?!」

「忘れるわけありませんよね?!アノ忌まわしい鳥肌が立つよぉーーーーな事件!ああ、思い出しただけでもぉ・・・」

――なるべく思い出したくなかったがちょっとだけ説明。

一月前、とある事件の依頼人のもっていた妙な機械によりガウリイが二つに分裂した。

見た目は一緒。

違うのは性格。

性格が黒いアブない感じの『ダーク』。

こっちがオリジナルか?と思っちゃうような明るい保護者な『ライト』。

その二人のせいであたしはいろいろごたごたにまきこまれることになったのだが・・・

あれを戻すのに、あたしは本当に、ホントっっに苦労したのである!

・・・これ以上は聞かないで ぷりーず

あんなくそ恥ずい格好までしたのに

思いだすと鳥肌がぁ・・・

うう、ぞっとする・・・

「おお、そーだったそーだった。」

こ、この超巨大おお嘘つきバカくらげがっ!

「んで、どーなったんだっけ?」

がっくし

予想どおり、やっぱりコイツは覚えていなかった。

―――――――――――――――――――――――――

「へーそんなことがあったのかー・・」

ヒトごとのようにゆうガウリイ。

「んじゃお前さんがライト、あっちがダーク、でいいのか?」

そう言われてあたしは首を横に振る。

「いーえ、2号は『ダーク』っていうほど黒くはないわ。あの時のガウリイは本当に黒かったんだからね」

「・・・じゃーどーする?」

「『シャドゥ』ってとこかしら?あの子は」

「・・・?」

「まぁガウリイは覚えちゃいないかもしんないけど、あたし、前に二回ほど、こんなことあったのよ。ガウリイといっしょだった時に遭ったのはあたしに化けた魔族がウロウロしただけだったけど・・・その時のそっくりさんの呼び名よ。シャドゥってのは。どぉ?いいじゃない。これで」

「・・・へーそーなんだ。」

「そーゆーこと。まぁいーわ。とにかく,これからあんたは2号じゃなくて『シャドゥ』・・・って」

・・・スゥースゥー・・・

案の定、『シャドゥ』はたった一つしかないガウリイのベッドで気持ちよさそうに寝ていた。

たたき起こしてやろうか、と思ったが、

「・・・〈がばっムぐむグ・・・〉

ガウリイに押さえつけられ、あえなく失敗。

「起こしちゃ可愛そうだろ?」

「ぶはっ、そうはいっても・・・」

ベッドは一つ。人間は3人。

これでどーやって寝ろという――あ、そーだ。

「ガウリイ、ちょっとこっち来て」

「・・・なんだ?」

「『でりしゃす☆うぇい』よ」

*:..。o○☆゜.:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゜.:,。*:..。o○☆

「ね?」

「・・・・狭い」

はーい、またまた状況説明


リナ〈作者省略多すぎっ!〉

流奈〈うっさいこっちは文字数すんごい気にしてんのよっ!〉

とかいう言い合いはさておき・・・

『シャドゥ』は右のはしっこ。

ガウリイは真ん中。

あたしは左のはしっこ。

つまり川の字寝!

寒いし、床で寝るなんてヤだし、かといってガウリイを床におっぽりだして寝るのも気が引ける。

こういう時はこうするしかないでしょ。


・・・『kiss×si○』を連想していただきたい。

ヤらしくはないが。

ついでにガウリイという超便利移動型湯たんぽつきという豪華特典付き。

これなら冬中ずぅーーーっとガウリイといっしょのベッドで寝てもいいかなーなんて思っちゃったりする。

・・・どんな結果になろうとも。ええ。

「おやすみ、ガウリイ・・・」

さすがに・・もうねmふmn―――

続きを言う前に寝てしまったあたし。

手首に巻きついた、リングの存在さえも忘れられるくらいぐっすりと。


五時間経過。

―――さて、いまだ目がさえ、眠れぬガウリイ。

横と横には美少女二人。

アブないシチュエーションに突入!ということもまた可能だが・・・

〈いや、それをやると例の3○に・・・ムグモゴ・・〉

ま、ガウリイの心境としては、

『どーすりゃいーんだ俺?!』

としか考えられんと思ふ。

・・・知ったこっちゃない by流奈

―――――――――――――――――――――――――


ガウリイside

「ん・・・重い」

昨日はいろいろあって寝付けなかったから身体がダルい。

それにしても重すぎだろ・・・って!

「り、リナぁっ!?」

右手にかかる、ずっしりとした重み。その正体はぴったりと腕に巻きつくようにして寝こけてるリナだった。

・・・近い。

顔が肩のあたりになんかにあるため、吐息がもろに感じる。

身体が無意識のうちに勝手に動く。と、

ぐいいっ

いきなり、後ろからものすごい力でひっぱられた。

振り返ると、そこには・・・もう一人のリナがいた。

「あんた、やっぱりあたしが分裂したこと忘れてたんだ。それで寝込みのシャドゥ襲おうとしたんだ・・・」

「り、リナっ、これは・・・!」

「やっぱり」

フルボッコされる・・・ヤバい。

ドラスレとどっちが強いか考えてる時間はなかった。

動かない頭を一生懸命めぐらしていた時――――

ぽふん


リナは、俺の胸に顔を埋めていた。

「リナ・・・?」

「・・・あたし、可愛くない・・・?」

「え・・・」

パジャマをつかみ、俺の胸に沈み込むように顔を押し付けながらつぶやいた。

「今日、シャドゥといっしょにいて、あの子の行動をずっと見てたけどね・・・あたしの分身だなんて信じられない」

俺は、なんて答えたらいいのか、分からなくなった。

「あたしはあの子とは違う。あの子みたいに優しくない。見た目はいっしょのなのに・・・」

「・・・」
左手を、リナの肩にそっと手を置いた。

かすかに震える肩を、壊れ物を扱うように。

「ガウリイがあの子と話してるのを見て、思ったの。ガウリイは、あたしより、あの子のほうが好きなんじゃないかって。だから・・・」

「・・・どちらもリナだ。どんなに、中身が違ってても、シャドゥはリナの一部だ。リナも、シャドゥの一部なんだぜ。だから・・」

俺の言葉をさえぎって、リナが叫ぶ。

「そうよ、シャドゥはあたしの一部よ。でも、だから何?!さっきも言ったけど、あの子はあたしじゃない。あたしとは違うのっ。いいわ、証明するからっ」

言うが早いか、リナは俺の腕をはねのけ、自分から服のボタンをぶちぶちと引き裂くようにはずしだした!

「リナ、落ち着け――ー」

「お前は俺のものだって!自分から言ったじゃない!誰かが、あたしと同じ顔、同じ姿をしていてもあたしはあたしよ!認めないわ分身だなんて!」

そういいながらもボタンをはずす手をやめない。

その上俺のシャツにまで手をかけてきた・・・!

「リナっ、横にシャドゥがいる――」

「かまわないわっ!それなら見せ付けてやるまでよ。ガウリイ、あんたも脱いでっ」

「リ・・・!」

噛み付くように、激しくキスを求めてくる。

この感覚・・・

「俺、前にもこんなシチュエーションどっかで・・・」

リナの動きが、ピタリ、と止まった。




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